安浦町石原さん 93歳、溢れる創作意欲 63巻目となる新刊小説
安浦町に住む石原弘さんが先月末、63巻目となる小説を自費出版した。石原さんは大正10年、東京生まれの93歳。長唄で有名な杵屋一門の分家に生まれ、70歳で引退するまで、小田原の花柳界で芸者たちに長唄を教えていた。一方で、20代から趣味である創作活動に力を入れ始め、作家名「原石寛(かん)」として、花柳界などを題材に数々の小説を刊行してきた。今回出版した短編小説集「雪女郎」も、華やかな芸者の世界で繰り広げられる男女の恋模様を中心に描いたもの。発行部数は500部で、主に図書館などに自身が進呈している。
横須賀に移り住んだのは今から14年前。現在も執筆活動を続けている。手書き原稿には、筆圧の強い文字がびっしりと並ぶ。90歳を超え、耳が聞こえづらいことがあるが、近くに住む親族の助けを借りながら、たいていの家事は一人でこなすという。
長唄の師範と芸者は切っても切れない縁。妙齢の女性たちに囲まれ、「若い頃はモテモテだった」と笑いながら振り返る石原さん。自身も芸者の美しさに魅了され、生涯の伴侶に迎えたひとり。7年前に先立たれたが、部屋には芸者姿の妻の写真が飾られている。三味線は引退したが、ペンはこれからも握り続ける所存だ。
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