2015年、大型マンションの完成により、横須賀の中心市街地・横須賀中央の「まちなか居住化」が一気に加速する。38階建ての「ザ・タワー横須賀中央」の下層階には商業施設も入居。停滞感のある中央エリアの活性に向けた好材料として期待されている。ほかにも同地区では、街のにぎわい創出のため、地元商店主と行政らが手を組み、イベント実行委員会を発足。同エリアがかつての輝きを取り戻す、”再生元年”になりそうだ。
「まちなか居住」とは、街の中心地に居住者を集めることで、交通や買物の利便性向上や内側からの活性を目指す新しい居住スタイル。かつて街づくりの主流は、郊外型商業施設に紐づく車社会だった。それに伴い、街の中心地からはにぎわいが減り、商店街の衰退が目下の課題であった。しかし、高齢化が進むにつれ、利便性の低さや通院の困難さが浮き彫りに。一転、街の中心地に都市機能を集めることで効率化を図る「集約型都市構造(コンパクトシティ)」が注視されるようになった。
横須賀市は、平成22年に「都市計画マスタープラン」を見直し、市全体でコンパクトシティ的な街づくりに取り組むことを打ち出した。日々の生活が徒歩圏内で充足される便利さや、医療・福祉サービスの維持向上などがメリットに挙げられる。高齢化・人口減が課題であり、コンパクトシティ化の先駆けでもある富山市は、まちなか推進エリアへの住宅助成や、公共交通機関の充実を実施し、全国的なモデル都市になっている。
大型含む4棟が竣工
中央地区では、「駅近」を謳ったマンションの建設ラッシュが進んでいる。そのツインシンボルとなるのが、38階建て(297戸)の商業・住居一体マンション「ザ・タワー横須賀中央」(大滝町)と、26階建て(279戸)の大型マンション「サンコリーヌタワー横須賀中央駅前」(若松町)。共に今年竣工予定だ。「サンコリーヌタワー」の販売担当者は、「中央地区の魅力は、行・商の中心地である点や、都心へのアクセスの良さ。震災を機に、耐震施工への関心が高まったのもマンション購入の一因では」と考察する。
ほかにも、本町では9階建て(18戸)、小川町では8階建て(21戸)のマンション建設が始まっている。2棟とも今年完成予定で、商業・住居一体型。「住む街」としての需要の高さがうかがえる。「ザ・タワー」は、昨年末に全297戸が完売。市内・市外購買者の比率は7対3。市内での住み替えが大半を占めた。
独自の商業スタイル
「ザ・タワー」は、同エリアの再開発の目玉だ。中心市街地の再生をめざし横須賀市が策定した「横須賀中央再生アクションプラン」の第1号の認定案件であり、固定資産税と都市計画税の9割減免や、容積率の大幅緩和など、事業主に向けた支援策が適用されている。
施行者は「西友」が入っていたビルの地権者などで組織される「大滝町2丁目地区市街地再開発組合」。プロジェクトを進める「横須賀エリアマネージメント株式会社(Y.A.M.)」によると、テナントは現在誘致を進めている段階。かつてビル内に入居していた店舗(五番街商店街)は「ほとんど出店しない」という。同マンションは、6階から38階までが居住フロア。1階から4階に入る飲食店などの商業フロアでは、時間帯で事業者が変わる「タイムシェア制」を採用することで、賃料などの負担を減らし、入居のハードルを低くする計画だ。4階には、複数の診療科のある「横須賀タワークリニック」が開院予定。交代制の医師を複数配置することで、ほぼ年中無休で診療するなど、独自の取り組みを進める。
商店主らがにぎわい創出
昨年12月には、市や商工会議所、同エリアの商店主らで組織する「横須賀中央エリア商店街活性化イベント委員会」が発足。中央地区のにぎわい創出や人通りの増加をめざし、今年2回(春・冬)、複数ある商店街を横断した大型セールやイベントを計画している。委員長の坂倉純一さんは、「中央地区が衰退すれば、市全体の士気にかかわる。市や商議所と連携して、イベントを成功させたい」と話している。
変わりゆく街の様相
横須賀中央エリア周辺では、新港埠頭を「官公庁ゾーン」として、機能集積を進めている。一昨年から、裁判所や税務署、合同庁舎、救急医療センターが新港町に移転。今年10月には、小川町の横須賀警察署が移転予定だ。跡地について県の財産経営課は「売却や保有については未定」としている。駅まで徒歩圏内なだけに、跡地利用に関心が集まる。横須賀の経済の軸となる中央エリア。活性に向けたスタートが切られた今年、熱視線が注がれる。
「ヨコスカモデル」の確立横須賀エリアマネージメントCEO石田重藏さん
「常識にとらわれない街づくりをしたい」。「ザ・タワー横須賀中央」完成後の街並み模型を前に、力強く語る石田さん。4階フロアに入る「横須賀タワークリニック」など、商業施設やクリニックモールの誘致活動を行っている。
構想の実現に向けて評判の良い病院へ自ら視察に赴き、最新の医療サービスの現場などを研究している。朝9時から夜9時まで、完全予約制を基本とした医師交代制を導入することで、「待ち時間ゼロ」をめざす。
横須賀という土地柄や5年後の東京五輪を見越し、外国人患者を相手に英語対応ができる医師の増員や、近隣にある歯科大との連携なども模索している。「この”ヨコスカモデル”を確立させるのが目標」。新しい中央の未来に夢膨らませる。
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