展示室に入ってまず、その視線に圧倒される。等身大の男性”人形”はオーストリアの画家「エゴン・シーレ」、その人だ。平作7丁目のカスヤの森現代美術館で開催中の企画展「宮崎郁子 ひとがたのエゴン・シーレ」では、約30点の人形が出迎える。
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「子どもの頃、父親の引き出しに入っていた小さな人形。父の心の支えになっていたもので、欲しかったがもらえなかった」と回顧する宮崎さん。その時から、独学で人形づくりを始めたという。「人形は玩具ではない。人形ほど『私』自身を理解してくるものはない。いつも傍らにひっそりと寄り添ってくれる祈りの存在」―。しばらくは、綿布・木毛などを用いた作品を発表していたが、転機は1995年、ウィーン分離派の画家「エゴン・シーレ」の画集との出会いだった。強烈な個性を持つ画風に導かれ、それ以降、彼の描く作品世界を主題に立体造形を続ける。「ただ単に、絵画の登場人物をなぞるのではなく、時空を超えて寄り添い、モデルに触れ、対話する」という作業だという。
作品の素材は、石塑・古布など。これに肌の質感や濃淡を繊細に浮かび上がらせる。「油絵を立体化させた」と表現されることも多く、手に馴染む人形でも彫刻でもなく”ひとがた”。不思議な存在感を醸し出している。
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会期は3月5日(日)まで、開館時間は午前10時から午後6時。月・火曜日休館。入館料600円。問い合わせは同館【電話】046・852・3030
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