「三浦半島という”括(くく)り”を意識したことはなかったが、訪れてみて個々の町に魅力を感じた」。横浜市立大学(横浜市金沢区)の学生がこの春立ち上げたサークルの名称は、ずばり「三浦半島研究会」。6月に学内の公認団体となったばかりだが、既に4月から隔月でフリーマガジン「三浦半島ジャーナル」を発刊。街歩きやフィールドワークを絡めた誌面作りに力を入れている。
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研究会のメンバーは現在18人。その半数を4月に入学した1年生が占める。同会代表で発行人の福村暁さんは山梨県出身。入学を機に市外からこの地に初めて降り立ったメンバーも多い。大学のある金沢八景は三浦半島の付け根。「ヨコハマ」のイメージを覆される街の佇まいと、「その先の南側にある半島に興味を抱いた」と福村さんは話す。ふらりと遊びに訪れてみて、半島内のそれぞれの町の文化圏や空気感の違いを感じた。発足したばかりのサークルでは、活動の中心に冊子の発刊を据えることにした。
街の「アーカイブ」に
「土地に息づく普遍的な故郷を探し、その概念を編纂するために作る」―創刊1号で、そう綴っている。ガイドブック的な存在ではなく「住む人の人生にスポットを当てたい」。歴史や文化など街の「アーカイブ」を作っていくことに意義を見出す。
第1号は大学のある金沢八景、2号目のタイトルは「横須賀は『異国』なのか?」。表紙の写真は夜のドブ板通りだ。初めて足を踏み入れた時の体験を、先入観を隠すことなく表現する。EMクラブのほか、軍港や走水神社といった「横須賀の由縁」にも着目。取材や資料にあたり、まっさらな視点で取り組む楽しさもあるという。自らの言葉で表現すること、記事を書くことに苦戦しながらだが「活動でのフィールドワークを自分の学びにつなげたい」と菊池大介さん(1年)。小澤京介さん(1年)は「社会や地域に根付いた研究をしたいと思って進学した。4年間過ごすこの街を中心に、今しかできないことに挑戦したい」と意気込む。
執筆だけでなく、モデル、撮影までメンバーが手分けして担当。見開きの写真やデザインなどの紙面構成も目をひく。今後も隔月で発行する計画で、次号は三浦を特集。現地で泊まり込んで取材活動を行っている。
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「SNSやネットが隆盛の時代に、なぜ紙の媒体なのか」―。これには「形になる達成感がある」との答え。手に取ってもらう「出会い」を楽しみにしながら、独自の視点で発信を続ける。
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