福島原発の廃炉プロジェクトに携わるエンジニアで、全国各地で開かれるレースを転戦するプロウインドサーファー。2足の草鞋を巧みに履きこなしてきた岩崎さんの暮らしにコロナがどんな影響を与えたか─。聞けば「仕事は充実、ウインドサーフィンライフはもっと充実」。そんな答えが返ってきた。
設計・製図の技術を求められる現場で力を発揮する派遣社員。現在は、福島第一原子力発電所で使用済み燃料の安定保管や共用プールに移すための遠隔装置設計を手掛けている。コロナ以前は、横浜市磯子区にある会社まで往復2時間かけて通勤。それよりも前は往復4時間を超す都内通勤の苦行に耐えていた。
それでも20年来暮らしている津久井浜海岸一望のマンションを離れなかった理由は「海をそばに感じていたいから」。週末はすべての時間をウインドサーフィンに費やす。仕事と遊びを天秤にかけて選択した理想のライフスタイルだった。
通勤時間ゼロ、ストレスなし
そんな毎日に大きな変化をもたらしたのがコロナ禍。会社は緊急事態宣言以降、テレワーク(在宅勤務)体制に移行。業務の遂行、プロジェクトメンバーとの意思疎通など、「出社しなくて成立するのか」と不安を抱いたが、「それは単なる思い込み」。まったくの杞憂だった。一日中、パソコンに向き合う仕事は、ネット環境さえ整っていれば業務内容に支障はない。プロジェクトの進捗状況もオンラインミーティングで代用できる。ただ、感じたのは、今まで以上のコミュニケーション力の必要性。「画面越しからは、相手の本音や感情を推し量ることが難しい」。リアルな会議ではその場の空気を感じながら、意見発信や合意形成がされていたことがよく分かった。
テレワークの難しさにオンオフの切り替えもある。「24時間仕事が頭から離れない。時間と場所にとらわれない働き方だからこそ、逆に縛られてしまうことがある」。疎ましく感じていた通勤が実は仕事のオンオフの切り替えになっていた。
そうしたデメリットを差し引いてもテレワークには、余りあるメリットがある。岩崎さんは、風が吹くタイミングと仕事のスケジュールを重ね合わせて1日の行動を決定。朝一番に海に出る日もあれば、平日の昼休みを少しだけ伸ばして練習に集中することも。手に入れたのは、理想を超えた海生活だ。
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