「横須賀市のメディア戦略」奏功 紙も電波も巧みに
横須賀市のメディア露出が際立っている。テレビの旅番組で市内散策が度々放送されているほか、雑誌ではグルメをテーマにした特集が組まれている。何か仕掛けはあるのか?
昨年4月から12月まで、市がカウントしたメディア露出(当地をPRする内容)の集計では、テレビ番組13本、新聞23本、雑誌9本という数字。「龍馬伝」「坂の上の雲」というNHKドラマの追い風もあるが、かなりの登場頻度といえる。人気デュオのゆずが企画に携わったカレーも数々の媒体に載って全国に発信されたおかげで、ファンが店舗に押し寄せることとなった。
これらは偶発的な出来事ではない。市が積極的に取り組んできたメディア戦略の成果だ。「横須賀」のブランドイメージ強化をめざす吉田雄人市長のシティセールスが分かりやすく示された格好となっている。
このメディア戦略を練っている中心人物が昨春、市の職員として迎えられた元電通マンの奥村浩さん。前職の人脈やネットワークをフルに活用しながら新たな切り口での自治体PRを実現させている。
具体的な例では、過去最高の人出を記録した「よこすか開国祭」がある。人気情報番組の「アド街ック天国」を開催直前のタイミングで放送できたことが大きな集客につながった。
「番組制作者、雑誌編集者の立場になって、横須賀の魅力を伝える。こんな内容はどうですか、という具体的な企画を持ち込むことで相手もその気になってくれる」と奥村さん。
横須賀の知名度は地域ブランド調査で全国ランキングで43位という(07年ブランド総研調べ)。「街の認知度が高いので誰もがイメージしやすく、メディアに取り上げてもらいやすい。自然、歴史、グルメ、ミリタリーなど魅力的な素材もゴロゴロしている」。最近では、地域の際立ったスポットなどを紹介する旅番組「地球のしゃべり方」の誘致に成功した。横須賀がトンネルの数日本一であることを提案したら担当者が面白がってくれたという。
市内の観光地やグルメを紹介するパンフレットは無数にあるが、対象者にどれだけ到達しているか、利用されているかはあいまいだ。「多くの人はテレビ、雑誌などのメディアから情報を得ている。旅行者や観光客の意欲を直接刺激するツールを活用しながら魅力を伝えきることが大切」と奥村さんは話す。
次の展開もにらんでいる。仕込んでいる企画は横須賀の「夕景・夜景」のPR。夜の来訪と滞在時間を延ばすことで、消費単価の高い夜8時以降のマーケティングの活性化を狙う。宿泊も伴えば、経済的な波及効果はさらに高まる。「西海岸の富士山、オレンジ色のライトが灯る軍港風景。勝算はある」と奥村さんは自信を見せている。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>