県内で完全給食を実施している公立中学校数の割合は25・7%。全国では87・5%(平成26年度)と大きな開きがある。現状で実施率ワースト1位だが近年、給食導入に転ずる自治体も増えている。
今月19日に三浦市内で行われた「学校給食展」=写真=。給食メニューを試食できるほか、導入の歴史や地産地消の取り組み掲示など、毎年恒例のイベントだという。「子どもがどのように給食を食べて学んでいるのか、市民に知ってもらう機会に」と市担当者。同市では市内2カ所の調理施設から各校に配送する「センター方式」を採用。小学校8校・中学校3校に温かい給食を届けている。「財政が厳しい中、給食の持つ重要性を考えている」という姿勢を貫き、子育て支援の側面も大きいという。
川崎市では、市民要望の高まりや議論を受け、2013年に完全給食の基本方針を策定。食育の充実を柱に、市長が推進会議の中心となり、翌年には具体的な実施に向けた計画へと事業が動いた。市内3カ所に給食センターを新設。小学校との合築校などでは、自校方式で調理する。既に、試行導入している学校もあり、17年度には全52校で実施となる見込みだ。
「ボックスランチ」課題も
三浦市や川崎市の実施形態は、全員喫食の完全給食。逗子市は一昨年10月、予約注文制(デリバリー方式)のボックスランチ給食を導入。当初は80%の喫食率だったが、「味が薄い」「野菜が多い」と、注文の割合が低下傾向にあるという。また、相模原市では全37校のうち30校で数年前から、同様の方式で実施しているが、持参弁当との選択制であることや、「ごはんが冷たい」などの理由で喫食率は約45%(2014年度)。同市では、汁物の提供や量の調整などで、全員喫食に向けて改善していくという。両市のような、弁当の持参と併用した「デリバリー注文方式」は、自治体の整備負担が少ない一方で、注文率の維持・向上といった新たな課題もある。
県内最大の自治体・横浜市では、弁当の持参が基本という姿勢を崩していない。横須賀市と同様に、各校が独自に業者のパン・弁当販売を行っており、来年度からは「ハマ弁(横浜型配達弁当)」と称したスクールランチ事業も始める。
給食実施は、自治体規模や財政状況に左右されるのか―。県内の例を見ると、それだけではないようだ。「中学生の昼食に何が最善か」。議論の本質は、ここにある。
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