「横須賀の活気と輝きを取り戻す」。当選直後、記者団に囲まれた取材でこう発言した。最優先に取り組む課題としたのは、「子育て環境の整備」。低所得者世帯への教育支援の充実など、「地に足のついた施策を全速力で行う」とハッキリとした口調で答えた。
選挙戦で提言した「海洋都市」「谷戸再生」「音楽・スポーツ・エンタメ都市」のグランドデザインにも言及。市民とイメージの共有化を図りながら、現状打破に向けた施策の具体化を急ぐ構えだ。
同僚の市議らから請われ、立候補を決意したのが3ヵ月前。準備期間の短さなど不安はあったが、政策はすぐに固まった。議員時代から取り組みたいと考えていたものを「ヨコスカ復活計画!」としてまとめた。
早朝の駅立ちやミニ集会で市民の声にも直接触れた。「特に若い世代の閉塞感とあせりにも似た不安は想像以上」。経済再生、雇用創出の必要性を痛切に感じた。
短期間で党派・会派を超えて出来上がった「上地応援団」。5月末に芸術劇場で開かれた決起大会では、2千人超の支援者が駆けつけ、入場を制限するまでに。これが陣営を勢いづける結果になった。選挙戦を通じて、上地氏の隣には小泉進次郎代議士の姿があった。「お辞儀からスピーチの仕方まで指導を受けた」と笑顔をこぼしながら感謝の気持ちを表した。
「脇の甘さが敗因」
吉田雄人氏 3選ならず
投票が締め切られた午後8時過ぎ、大滝町の選挙事務所に集まった支援者からは「最後まで諦めない」と、奮い立たせる言葉も聞かれた。上地氏当確の報を受け、吉田氏が会見場に現れたのは10時50分ごろ。日焼けした横顔と対照的に、第一声のトーンは低く、憔悴した表情で「2期8年支えてもらい、横須賀を少しでも良くしていきたいという気持ちに偽りはなかったものの、名刺問題などでの脇の甘さ・認識の甘さ・私の努力不足、全てがこの結果に繋がってしまったと思う」とゆっくり語り、頭を下げた。
会場では「これからも頑張って」「悔しい」との声が漏れたが、申し訳ないと言葉を詰まらせながら、支援者ひとりひとりの手を握るのが精いっぱいだった。
選挙戦では、市債の圧縮など8年間での実績をもとに、「時計の針を前に進める」と自らの市政継続を訴えた。他自治体の首長なども応援に駆け付けたが、前回から約1万8千票減らし、支持が広がらなかった。
投開票日翌日の月曜日朝も駅頭に立ち、「本人」のたすきをかけて挨拶。任期後の今後の動きについては、白紙としている。
「準備足りず」林伸明氏
「声が市民に届き渡らないうちに終わってしまった」。出馬表明が市長選まで残り1カ月の状況だったことを林氏は敗因に挙げた。上地氏の当選には「現市政の停滞打破を市民が求めた結果」と前向きに捉える。また、自身が掲げてきた久里浜の石炭火力発電所計画の撤回や財政調整基金の活用について街頭で多くの人が耳を傾けてくれたことに手応えを感じている。「前回の市長選で敗れた候補の政策が反映されているものもある」と、今後も市政を注視していく構えだ。
「チャレンジ」結実
駅立ち続けた加藤裕介氏
29歳、新人無所属での立候補。「選挙のセオリーなどがわからず苦労した面も多いが、若いスタッフの機動力を活かせた」と加藤氏は初めての選挙戦を語った。
10年前、吉田氏のインターン生だった。今回は市長の応援を受けての選挙戦。自身の当確が決まる直前、吉田氏の落選が伝えられた。「今後の市政での活動に影響はない」と話す表情は少し険しかった。
「子育て世代の支援に力を入れたい」。政治を伝える責任を背負い、投開票日翌日も駅立ちを行った。
「素晴らしいチームだった」
田中洋次郎氏
ハイランド在住で、会社員の田中洋次郎氏。定住者増加を目指し「教育」「医療」の充実を掲げて選挙活動を行ってきた。
横須賀中央の事務所には約30人の支援者が集まり、投票結果を見守った。午前0時頃に当選が決まると、上地克明新市長と小泉進次郎氏も駆けつけ、連携して選挙戦を戦ってきた同志の勝利を喜んだ。
田中氏は「チームのみんなに感謝。一人でも多くに人に認めてもらえるよう、努力していく」と話した。
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