長身から繰り出す速球が武器だった
「横須賀の仲間と甲子園に行きたい。これが地元の学校を選んだ理由」ときっぱり。小学４年生で地元のソフトボールチームに入団し、大矢部中で頭角を現した。進学の際も強豪校から誘いがあったが、市立工業高校（現・横須賀総合）へ。「相当な練習量で体力的にも厳しかった。その”苦しいこと”が何よりも楽しかった」。３年の夏、地元横須賀スタジアムでエースとして登板した試合。シード校の日大高を破り、「強いチームを倒したい」との一心で積み重ねてきた鍛錬がここで実った。その勢いで４回戦まで進出。甲子園には届かなかったが、同年の戦績は「市工」最高位記録として残っている。
年代で言うと、松坂世代。中高で学んだ野球道の基本は「先輩を敬うこと、後輩を大切にする心」。そこにいる仲間の存在は大きい。次に大学野球という「敢えて厳しいほうを選んだ」のは、目標を持って突き進むチームスポーツの醍醐味を肌で感じていたから。
当時から山本が心に刻んでいる言葉が「球道即人道」。野球を通した学びが原点にあった。
＊ ＊ ＊
読売ジャイアンツに入団し、憧れのプロの世界に足を踏み入れた。結果がすべて。肩の故障で戦力外通告を受け、「一旦は野球が嫌いになった」。そんな自分を救ってくれたのも野球と仲間だった。次世代の横須賀の子どもたちのためにできることは何か。スクールを立ち上げ、スポーツ振興に取り組む。「”生涯現役”や街の活性化に、スポーツは可能性を秘めている」。その活動の延長に市議への挑戦があった。
「横須賀から甲子園出場を」。その想いは、野球少年だったあの頃から変わらない。「高校野球ほど人を魅了するものはない」。いつかは指導者としてグラウンドに―そんな夢も描いている。
「市民の声を届ける」と市議転身
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