天皇生前退位による改元を目前に控え、天皇行幸跡地や皇室ゆかりの地に対する関心が高まることを予測して横須賀集客促進実行委員会(横須賀市・横須賀商工会議所・京浜急行電鉄)は今月1日、市内で活動するボランティアガイドなどを対象にした研修会を開いた。「横須賀の文化遺産を考える会」の長浜つぐお氏が講師を務めた。市は新たな散策ルートや観光プランの開発に役立ててもらう考えだ。
この日巡ったのは、ドブ板通りの路地裏を少し上った小高い丘にある「明治天皇御駐蹕(ちゅうひつ)」の碑。明治天皇は横須賀造船所の巡覧のため度々横須賀を行幸しており、明治8年にこれを記念した碑が建てられている。東郷平八郎元帥の書が刻まれ、先端の球体には羽を広げた金鵄像が飾られている。
一段下がった所にある小さな公園の中には、行幸の際に宿泊・休憩した向山行在所(海軍兵学校教師館)の建物の跡地を示す「明治天皇横須賀行在所址」の碑もあり、長浜氏は、「碑の建造は当時、名所・史跡を残す運動を横須賀市が展開した」と説明した。
ドブ板通りには、昭和9年に有志によって建てられた「明治天皇横須賀行在所入口」の石柱も存在。角が欠けているなど汚れや傷みが目立つ。歴史遺産の修復や管理を誰がしていくかも今後の大きな課題であることを解説の最後に述べた。
今上天皇が横須賀を行幸した記録では、昭和19年の皇太子時代に浦賀ドックを視察しているほか、昭和36年の記念艦「三笠」復元記念式翌月の6月に皇太子夫妻で訪れている。横須賀自然・人文博物館と県立観音崎公園には、公務としてそれぞれ5回・8回の来訪記録がある。
研修会に参加したよこすかシティガイドの相原一久理事長は、「新元号発表と改元ムードの高まりを見ながらツアー企画に組み込むことを考えたい」と話した。
「歴史遺産」誰が維持?
市内の天皇行幸記念碑は西叶神社(西浦賀)、千代ヶ崎砲台(西浦賀)、陸軍銃砲兵学校(馬堀町)にもある。
千代ヶ崎砲台跡の北側高地にある高さ約110cmの記念碑は、御影石でつくられている=写真。昭和天皇が昭和3年5月24日に東京湾要塞の視察に訪れたことを記念して、東京湾要塞司令部が建立した。現在は民有地となっており、朽ち果てて崩れ落ちた状態となっている。
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