祖父が創業し、父が継いだ夏島運輸株式会社。近藤智平さん(38)が同社に入社したのは2008年。3年前に専務に就任し、今では代表取締役として経営の舵取りを担う。ただ、すんなり「家業に就いた」訳ではなく異色の業界からの転身だ。
高校卒業後は音楽の道に進み、22歳の時にロックバンド「GUNDOG」でメジャーデビュー。熱狂的なファンを獲得し、7弦ギタリストとしてプロの現場に身を置いた。バンドの活動休止もあり、28歳で引退を決意。そこで飛び込んだのが家業だった。「家族の役に立ちたいという想いが大きかった」
人材育成に尽力
ドライバーとして入社したが、リーマンショックで経済全体が落ち込んでいた時期。「仕事に目標を持ち、積み上げていくこと」の大切さが身に染みた。会社を継ぐはずだった兄の急死により、経営の現場へ足を踏み入れることに。財務や法務などを猛勉強し、物流経営士の資格を取得。「経営とは何か」―とことん向かい合った。力を入れたのは会社の根幹となる「人材の育成」。「一生働ける職場にしたい」と社員一人ひとりと向かい合い、業務環境の改善に乗り出した。こうした成果もあり、社員の定着率も上がり業績も付いてきた。
物流業界を見渡すと燃料高騰や人手不足、自動運転化など厳しい現状が続く。「会社の存在意義にも関わるもの」と近藤さん。「運送業は作り手の心を運ぶという使命があるが、その価値が見えづらくなっている」と話す。先ごろ、若手社員との勉強会を始め、「自分の次の経営者」の育成にも乗り出した。生活インフラを支える自負と業界への危機感を原動力に、「選ばれる会社」を目指していく。
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