新型コロナワクチン接種率向上と地域経済回復の両輪を担う横須賀市のワクチン接種キャンペーン事業が全国から注目を集めている。ワクチン接種済証を提示すると、協力店舗で割引などが受けられる。国も同様の仕組み作りを検討する中で、一行政が先駆けて実施した取り組みに多数メディアから取材依頼が殺到。テレビ番組などで取り上げられている。
市は今年5月、集団接種会場の一つとなった地元百貨店「さいか屋横須賀店」と連携し、接種済証を提示した人に一部の店舗で割引などの特典を付与するキャンペーンを開始。ワクチン接種を経済回復の切り札と位置付け、接種スピードを上げてコロナ以前のような日常生活を一日も早く取り戻すことを目指した。
翌月には横須賀商店街連合会や大型店舗、横須賀商工会議所と協働し、全市的な事業へと水平展開。市HPによると、9月末日時点で31の商店会と11の大型店がキャンペーンに参加している。事業内容に理解を示した店舗入り口には目印となるポスターやステッカーが貼られるなど、市は広報活動を支援している。
ワクチン接種で2回目を終えた人の割合が全人口の半数を超えた9月中旬、自治体と地元事業者がタッグを組んだ全国でも稀な事業に民放各局が注目。9月25日にはNHKが横須賀商店街連合会の森下守久会長を訪ね、久里浜商店会協同組合に加盟する212店のうちサービス提供に名乗りを上げた店の商店主たちをインタビューした。NHK国際放送局World News部ディレクターの岩崎敦子さんは「国が同じような事業を検討している中で、先駆的に取り組んでいる横須賀を世界に発信したかった」と取材理由を話した。
一方、ある商店主からは「感染が完全に収まらない今集客を呼び掛けるのは時期尚早」「市の補助は広報費のみで特典は店が負担しなければならず、賛同するのは体力のある一部店に限られる」といった声も上がる。
これに対し、森下会長は「コロナが収束しないと街に人は戻らない。店主もお客様も安心安全な生活を送るためには、ワクチン接種が重要な鍵を握る。官民一体で対処していくべき」と語った。
横須賀版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|