茅ヶ崎市文化資料館 おうちでミュージアム 連載Vol.13
「万灯会(まんどうえ)の灯明皿(とうみょうざら)」
「万灯会(まんどうえ)」という仏教の行事をご存知ですか。たくさんの灯明(とうみょう)(神聖な明かり)をともし、日ごろの罪や業(ごう)を悔い改めて仏を供養する行事のことです。現在でも鎌倉などで執り行われています。日本で初めて「万灯会」が開催されたのは、記録上、今から1370年も前、日本列島に仏教が伝わってほどない飛鳥時代の中ごろのことでした。
実は、今から1200年もむかし、茅ヶ崎市域でもそうした「万灯会」が執り行われていたかもしれません。というのも、茅ヶ崎市の北西部に位置する「下寺尾官衙遺跡群(しもてらおかんがいせきぐん)」では「灯明皿」が多く発見されているのです。皿の年代は約1200年前。写真の皿には、黒いススがついており、これが灯明をともした痕跡です。
古代、この遺跡群の場所には、茅ヶ崎市域でもかなり古い時期の役所と寺院が建っていました。発見された灯明皿は、この寺院で催された「万灯会」で使用された可能性があります。
古代のとある夜、草深い関東平野の片隅で、ずらりと並べた皿に灯明をともし、仏に祈りをささげた茅ヶ崎の古代びとに、少しだけ思いを馳せてみませんか。
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