口笛の国際大会でグランドチャンピオンに輝くなど、変幻自在な音色で聴く人を魅了する青柳呂武(ろむ)さん(21)のコンサートが、4月9日(土)にチェチリア工房(大磯町国府新宿744の8)で開かれる。
東京芸術大学に通う青柳さんは、2014年に日本で開催された国際口笛大会(IWC)に初出場し、成人男子の部でグランドチャンピオンに輝いた実績を持つ。様々なジャンルのアーティストを招き音楽イベントを行う、チェチリア工房の長岡和子さんが出演を依頼し、大磯町でのコンサートが実現した。
原点 兄との「ハモり」
青柳さんが口笛を始めたのは5歳の時。2人の兄が楽しそうに吹く口笛に憧れ、見よう見まねで覚えた。「兄の影響でバイオリン教室に通っていたので、教室で習った曲をよく3人でハモっていました」。音程や演奏方法を指摘し合うなど、口笛を通した音楽談義が兄弟の楽しみだったという。
中学生になると、鳥がさえずるような音を出すウォーブリング奏法を習得するなど、本格的な口笛の技法を追求するように。誰もが気軽に吹ける口笛に音楽的な魅力を見出し、技術を磨いていった。東京芸大に入学する際も、自由な題材でPRする自己表現の課題に口笛で臨み、イタリアの作曲家ヴィットーリオ・モンティによる「チャルダッシュ」を披露した。
「まだまだマイナー」
IWCでは、テープ審査を勝ち抜いた20人の中から日本人初となるグランドチャンピオンの座を手にした。大会の数年前に出場した国内向けの大会は予選落ちに終わったこともあり、「他の口笛奏者の演奏を聞いたり、演奏方法を試行錯誤したりしながら挑んだ大会でした」と振り返る。
それでも青柳さんは「正直、こんなもので優勝できちゃうんだという気持ちもあった」という。口笛は鼻歌のように最も身近な音表現でありながら、音楽的な歴史はまだまだ浅いのが現状だ。「大会に参加して、口笛のマイナーさを痛感しました。これからは、自分がリードしていくような気持ちで口笛と向き合いたい。そんな気持ちを抱くようになりました」
体一つで奏でる楽器
口笛の上達には、これまで学んできた様々な楽器の演奏経験が役立っているという。「口笛もバイオリンも音程を自由に変化させることができるし、息を吸っても吐いても音が出るところは、バイオリンの上げ弓と下げ弓に似ています。口笛を吹くときに、バイオリンを意識することは多いです」と青柳さん。ホルンの演奏経験から、口笛に必要な唇の筋肉や肺活量も鍛えられたという。
「楽器を使わずに音を表現できる気軽さがある一方で、極めれば他の楽器にも負けない音を出せるのが口笛の魅力。オリジナル曲では、口笛らしさを感じてもらえるような曲にこだわっています」。コンサートでは、曲目によってピアノの伴奏をつけ、大地をそよぐ空気や小舟がたゆたう水の流れのような音の響きを楽しんでもらいたいという。
開演午後2時(開場1時30分)。チケット1500円。
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