世界平和を願い、65カ国の貨幣を集めて鋳造した「平和の鐘」をニューヨークの国連本部に贈った日本人がいた。寄贈者で宇和島市長を務めた中川千代治(1905―72)の足跡と後世へのメッセージを、二宮町のイラストレーター相沢るつ子さんが絵本『コインでつなぐ平和の鐘』にまとめ、日米両国で売り出された。
愛媛県出身の中川千代治は日中戦争と太平洋戦争に出征し、ビルマ戦線で生死の境をさまよった。悲惨な戦争体験から「二度と戦争をしてはいけない」という思いを胸に、鎮魂と平和の推進に尽力。自費で参加した国連総会で「世界の人々のコインを入れて平和の鐘を造りたい」と訴えた。
賛同した各国代表者やローマ法王などからコインが寄せられ、昭和29年、平和の鐘を国連本部に寄贈。その後も140カ国の元首に鐘のレプリカを贈るなどして平和運動に身を投じた。
絵本の出版は、千代治の娘の高瀨聖子さんと相沢さんが昨年夏に出会ったことがきっかけ。高瀨さんの原案を基に、相沢さんが小中学生にも分かりやすい文章と絵を手がけた。日本語と英語が併記されている。
今年は日本が国連に加盟して60周年にあたり、相沢さんらは6月、絵本を携えて国連本部を訪問。日本庭園にある平和の鐘が大切に管理されていたという。
相沢さんは二宮町図書館に絵本を寄贈。8月24日には町役場を訪れ、国連本部の書籍コーナーと紀伊國屋書店ニューヨーク店で絵本の販売が始まったことを村田邦子町長に報告した。「戦争を知らない世代が増えた今、子どもにも大人にも読んでほしい」と話した。
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