宰相の顔 「威厳より人気取り」 似顔絵展の河口邦山(くにさん)さん
「次の首相選び」と称された自民党総裁選が安部晋三元首相で決まり、野田第3次改造内閣が発足した。クルクル代わる総理大臣は初代伊藤博文から数えて62人。大磯町で吉田茂と歴代の似顔絵展を開いている絵師の河口邦山さんに、「宰相の顔」について聞いた。
国道1号線沿いの商店街にあるそば処古伊勢屋。シャッターを下ろした店もあるなか、街に少しでも活気をもたらそうと、河口さんは昨年からここで作品展を開いている。
店内に入って目に飛び込んでくるのは、ふすま大の吉田茂ポスター。頭に手拭いを乗せ、葉巻をふかしながら湯に浸かる顔は茶目っ気を含んでいる。9月に放映が始まったNHKドラマ『負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂』にちなんで描いた。「顔の輪郭、トレードマークの葉巻と弦なし眼鏡が特徴。さほどいい男ではないけれど、ユーモアと味があり、キャラクターとして描きやすい顔」と河口さん。「ただし実際は眉毛がこんなに下がっていませんでしたが」と笑う。
江戸時代に流行した大津絵や招き猫など縁起物のイラストを描く河口さんは、5年ほど前に大磯町の観光ポスターを制作。この時、ポスターに伊藤公や山縣有朋、西園寺公望ら大磯に居を構えた8人の宰相の似顔絵を入れ、これまでに歴代62人の顔を描いてきた。1939年生まれの河口さんから見て、最近はタレント化が気になるそうだ。「昔は軍人出身の首相もいて、威厳や近寄り難さがあった。いつからズッコケ始めたのか、今は媚を売って人気取りに走る顔。野田総理にいたってはお笑い芸人に似ているという位だし」。
そもそも日本人全体の顔が変わってきたといわれるなか、気概と全人格を顔に表した総理は出てくるのだろうか。次に描く首相は誰。
古伊勢屋の営業時間は午前11時30分から午後2時まで。木曜・金曜定休。大磯消防署ななめ向かい側。
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