ものづくり産業の発展に貢献したとして、ミカン農家のひじかたかんきつえん=大磯町=が県優良小規模企業者表彰を受けた。実務経営を担う土方徹さん(43)は「担い手が減りつつある農業に、関心の目を向けてもらうきっかけになれば嬉しい」と話している。
同園は大磯町虫窪の山あいに点在する約3ヘクタールの畑で、ミカンを中心に120種類を超える果実を栽培している。大磯町特産のブランドミカン「湘南の輝き」は、40アールを超える県内有数の栽培面積を誇るという。
10月下旬から11月下旬の1カ月間はミカン狩り体験ができ、圏央道の開通により埼玉や東京方面からの観光客も増えた。地元の子どもたちが収穫体験に訪れることも多く、「当時幼稚園生だった子どもが、大きくなって遊びに来てくれたこともありました」と土方さん。
虫窪の実家にあるミカン貯蔵庫を改装した直売所では、露地ミカンやポンカン、はるみ、デコポンなどの雑柑類、父の俊一さんが手がけるキウイフルーツなど、収穫時期ごとに様々な果実が並ぶ。母の代司子さんが以前から作っていたジャムを商品化しようと、5年前に菓子製造業の許可を取得。直売所をはじめ、JR大磯駅前の地場屋ほっこりや大磯市などで販売し、主力商品のみかんに負けない名物になった。
先祖代々営農してきた家系がミカンの専業となったのは祖父の代からで、土方さんは大学卒業後に就農。サラリーマンとして働くことも考えたが、「どうせ週末は手伝いをやらされると思ったから、それなら若いうちから始めようと(事業承継を)決めました」
周辺では高齢化により農地を手放す人もおり、後継者不足は深刻という。土方さんは「新規就農や農家を継ぐ選択をしてくれるような、ひきつける魅力がないといけない」と、多品種栽培や直売所の活用、加工品開発による6次産業への取り組みなど、消費者とのつながりを深める事業経営に活路を見出す。「安定した収入を得る難しさはありますが、おいしいと喜んでくれるお客さんの反応を見ることができるのが、この仕事の楽しいところです」
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