秦野市在住のレーシングドライバー石浦宏明さん(戸川・30歳)が、6月16日(土)と17日(日)にフランスで開催されるル・マン24時間耐久レースに出場する。レースにはテストドライバーを務めたハイブリッドカーTS030HYBRIDで参戦する。
石浦さんが参加するチーム「トヨタ・レーシング」では、2台がエントリーしており、中嶋一貴をはじめ世界各国のトップドライバー6人が名を連ねる。石浦さんは昨年の国内スーパーGTや、ヨーロッパでの耐久レース参加の実績を認められての抜擢となった。
自身が「レース人生における目標の一つ」と言うル・マン出場に「周りの皆さんからたくさんの激励をいただき、日の丸を背負って世界に挑む思いです」と力を込める。現在は、30時間交代で走り続ける過酷なテストを繰り返しながら、スタッフ全員で最高のセッティングを模索している。「国内でスーパーGTの試合を終えた次の日には海外でテスト」というハードなスケジュールが続くが「やっとたどりついたチャンス。全力で走りきるしかありません」と、夢を見据える眼差しに疲れの色はない。
「この車で優勝を」
石浦さんが乗る「TS030HYBRID」は、世界で初めてル・マン24時間耐久レースに挑むハイブリッドレーシングカー。「プリウス」で培ったトヨタの技術を使った最新鋭のマシンだ。
トヨタは1999年以降、F1への参戦に集中するため、同レースには参加していなかった。しかし、ハイブリッドの技術力をアピールするために、6年ほど前からTS030の開発に着手。石浦さんは、3年ほど前からテストドライバーとして開発に携わってきた。「もともとこのマシンは、いつかトヨタがル・マンに復帰する時のために開発を続けていたもの。やっと陽の目があたる場所に出られるのが、嬉しくてたまらない」と満面の笑みを見せる。
動き始めの力が強い電力モーターと、高速回転時に強いガソリンエンジン。その両方のメリットを組み合わせた初期のTS030は、ドライバーの動作と実際にマシンが反応するまでにわずかなズレがあった。小さなタイムラグも、時速300Kmを超える極限の世界では命に直結する。テストドライブでは何度か「生命の危険を感じた」という。他のドライバーが次々と辞退するなか、石浦さんは時にスタッフと激しく議論を交わしながら、ドライバーが求めるフィーリングを突き詰めていった。「複雑な動力とブレーキをコンピューターで制御するシステム。この調整だけで数年を費やしました」と振り返る。
同レースにとって初のハイブリッドカー参戦とあって、当初はレースの規則もなく手探りでマシンを開発し、ハイブリッドカーのルールが確定したのはわずか1年前。実戦までの限られた時間のなかで、調整は今も続く。「トヨタの過去最高は2位。13年前にエンジニアとしてル・マンに参加し、今回はプロジェクトリーダーとしてリベンジを誓う人もいる。私も、このマシンに一番長く乗ってきたという思いがある。優勝をつかみたい」。様々な期待を背に、伝統あるフランスのサーキットで、日本の若武者が新たな歴史を刻む。
【ル・マン24時間耐久レース】世界三大レースの一つ。1台のマシンを3人のドライバーが交代で乗り継ぎ、24時間でサーキットを周回できる数を競う。平均時速200Km以上、最高速度は300Kmを超える過酷なレースとして知られる。
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