2010年のプロ野球ドラフト会議で育成枠で指名され、立花学園高校(松田町)から千葉ロッテマリーンズに入団した山口祥吾さん(20・西中学校出身)。2軍での2シーズンを終えた昨年10月に戦力外通告を受けたが、プロ野球への思いを胸に現在も母校のグラウンドでトレーニングを続けている。
山口さんは、左腕から投げ込むキレの良い直球とスライダーが持ち味のピッチャー。高校時代に全国大会などでの実績も無いなかで、将来性を期待されての「育成枠」での入団だった。
プロ1年目は、入団直後のキャンプですぐにレベルの違いに圧倒されたという。とりわけ痛感したのが体力不足。そこで「まずは身体づくり」とウェイトトレーニングに取り組んだ結果、入団当時70kgだった体重は80kgにまで増えた。
2年目にはピッチングフォームも固まり「ストレート、変化球ともにキレが格段に良くなった」と手ごたえをつかんだ。主にワンポイントやリリーフでの登板で好結果を残し「3年目で勝負をかける」と決意も新たにシーズンを終えた。
思いも寄らぬ一報が届いたのは昨年10月上旬。夜、宿舎に電話が入り山口さんが呼び出された。受話器の向こうにいるマネージャーから告げられたのは「来シーズンは戦力として考えていない」という厳しい言葉だった。「その瞬間は頭が真っ白になりました」とその場面を振り返る。すぐに連絡した父親も「嘘だろ」と驚いていたという。
それからしばらくはプロ野球選手への夢をあきらめかけた時期も有ったというが、「自分には野球しかない。もう一度プロの世界に戻りたい」と覚悟を決めた。
11月9日、合同トライアウトに挑戦した。スタンドで各球団のスカウトたちが見つめる中、山口さんは同じ境遇の選手たちに負けないようにマウンドで全てを出し切った。その後、興味を示した球団からの連絡があったが、現時点では契約までは至っていない。
現在、一緒にトレーニングをしている高校時代の同級生は、「祥吾は自分たちの世代では別格だった。続ける気持ちが有るならぜひ頑張ってほしい」とエールを送った。
山口さんは「クビ(自由契約)は悔しかった。もう一度プロの世界に戻って1軍で投げたい」と熱い思いを話した。
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