秦野市南矢名在住の二見允久(のぶひさ)さん(77)がこのほど、フィルムカメラ約1万4000種類について、製品名や製造元や販売年、仕様などの情報をまとめた著書「銀塩式寫眞(しゃしん)機辞典」を完成させた。2000年から雑誌や図鑑などの文献を用いて調査を続け15年かかった。この本は非売品で自身と2人の娘のために3冊だけ装本したという。
題名の「銀塩式寫眞機」とは、フィルムカメラのこと。カメラの歴史を伝えたいと、あえて旧字体の和名を用いたという。
実用的な写真技術が誕生したのは18世紀。この辞典では、デジタルカメラが普及する1980年代以前を中心に、世界中で販売された機種をアルファベット順に収録している。約8000点のカメラの写真も添えられている。中にはモーツァルトが生きていた時代のものや、医療用カメラなどもある。
二見さんがカメラに関心を持ち始めたのは40年前。約100年前に作られた蛇腹式のカメラを友人から譲り受けたのがきっかけだった。元々アンティークが好きだったため、当初はインテリアとして自宅に飾っていたが、旅行先のアメリカで偶然手に取った古本の中に自分のカメラの姿を見つけ心が動いた。「カメラの名前や生まれた国が分かると、愛着が湧き、もっと知りたいと思うようになった」という。
「歴史や経済も見えてくる」
始めはカメラの名前やメーカー、販売年などを列挙していたが、カメラの仕様の進歩が分かると、さらに興味は広がっていった。2000年からは本格的に情報収集を始めた。
「カメラから世界の歴史、経済、文化も見えてくる」と二見さん。調べを進めると、ドイツ製のカメラの名称が第2次世界大戦後に英語風に変更されていたり、1950年代カメラ業界にドイツのベンチャー企業が参入してきたという時代背景も読み取れたという。
二見さんは旭川市出身。上京後に理工系の技術職として働く傍ら、趣味でものづくりに挑戦することが多かった。自宅で船や真空管アンプを作る姿を見守ってきた妻の修子(のぶこ)さん(69)は「少年みたいな人なんですよ」と微笑む。
「最近は便利な電子機器が増えたけれど、私は馴染めなくて。カメラもシャッターを押すまでのセレモニーを楽しみたいんです」と二見さんは語る。
二見さんにとってこの辞典は生きた証。「ライフワークとしてデータの収集は続けていくが、たぶん自分の代では終わらないと思う。ご希望の方にはお見せするので、情報を持っている方がいれば、ぜひ教えて下さい」と二見さんは目を輝かせていた。
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