秦野市菩提にある古峯神社の敷地内に、「菩提学校跡」と書かれた石碑がある。明治初期に菩提村で初めて設立された小学校。その跡地を示す石碑を残そうと、地元住民が神社の関係者などに働きかけ今年8月に移設したものだ。
秦野地域の村々では明治初期、日本初の近代学校教育制度に基づいて、江戸時代の藩校や私塾、寺子屋を元に小学校が編成された。
菩提学校は、堀山下村の小学校・輯雍(しゅうよう)館の支校として1873(明治6)年に設立。三屋、横野、菩提、羽根などの子どもたちが通っていたという。
明治の小学校制度の変化とともに、「砥河学校」「尋常北秦野小学校」などと名称を変え、1955年に現在の秦野市立北小学校となった。その間、学校の所在地は3回移転した。
石碑は1979年に、卒業生らによる実行委員会が北小創立100年を記念して建立した。正面には「菩提学校跡 明治六年七月より明治十一年一月まで」と記されている。
菩提学校の跡地は現在、個人の所有地。郷土の歴史を後世へ伝えている「秦野歴史おこしの会」の小泉孝理事長が、跡地に工事の看板が立っているのを見かけた事から移設の話が出た。
小泉理事長は、地元の菩提自治会連合会の古谷勝二会長へ連絡し、「土地の所有者が代わって石碑などが行方不明になる例もある。地元の人で残していった方がいいのではないか」と提案したという。
古谷会長らは当初、跡地の東側に面している県道705号線へ移すことを考えたが、法律上不可能である事が分かり断念。そこで、跡地に隣接する菩提原古峯神社の敷地内への移設を検討した。総代を通じて神社の地主に依頼したところ快諾されたという。
古谷会長は「菩提の歴史を伝える貴重な石碑。皆さんのご協力に感謝したい」と話した。
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