横須賀の2011年 再開発、誘客施設で街が動く さいか屋跡地も決定、ファーマーズマーケット開業など地域資源の活用も
昨年末、市に明るいニュースが飛び込んできた。5月に閉館したさいか屋横須賀店大通り館の跡地に、複合商業施設が建設されるというもの。さらに、ファーマーズマーケットや大型温浴施設など、誘客が期待される施設の開業も続く今年。沈滞ムードが続く地域経済のカンフル剤となるのか−。まちづくり・商業観光・歴史遺産…この1年の横須賀の動きを探った。
まちづくり 中心市街地に「明るさ」戻る
閉館後半年あまり−、本館との連絡通路が取り外された以外は、ひっそりとしていた旧さいか屋大通り館。市中心部の大通りに面したこの場所の跡地利用策は、水面下で進んでいた。土地と建物を取得したのは、大手住宅メーカーの一条工務店(本社/東京都江東区)。同社広報は「駅に近く、市中心部の大通りに面した好立地が決め手だった」と話す。吉田雄人市長も「中心市街地の象徴的な存在に」と期待を寄せる。
新たに建設する建物の規模は未定だが、免震構造を採用した商業施設複合の分譲マンションを計画している。今年2月から3月にかけて現存の建物を解体、年内の着工を見込んでいる。地元商店街(大滝商店街振興組合)の西理事長は「ひとまず、跡地の開発業者が決まってよかった。施設の概要は未定とのことだが円滑に進んでほしい」と話す。
さらに昨年末、西友横須賀店の入居するビルでは「大滝町2丁目地区市街地再開発組合」の設立も認可され、事業が具体化してきている。今年は権利関係の調整を進め、年末から現在の建物を閉鎖し、取り壊し作業に入る予定で、平成27年度の完成を目指す。
昨年末から、2つの事業計画が動き出した横須賀中央地区。「消費」と「生活」が一体となったまちづくりを進めるこの地域で、さらなる活性化の期待感も高まっている。
市北部の追浜でも、再開発の動きがある。「追浜駅前第1種市街地再開発事業2街区」として、1979年(昭和54年)に都市計画決定されていたものの、以降30年に渡って事業化が見送られていた。昨年から事業を再構築するための調査が始まり、多少ながらも進捗している。
観光集客に新たな一手
今年も「横須賀らしさ」を発信
その追浜では、追浜東町で計13・4ha(東京ドーム約3個分)という広大な造成が進む。「ルネ追浜造成工事」「追浜東町造成工事」は、株式会社フジタが平成19年に着工、小高い山を切り下げた開発を行っている(同社ホームページより)。ルネ追浜では地上7階建て計420戸のマンションが計画されており、173戸が今年末に竣工する(ルネ追浜第1工区)。追浜東町造成工事の地区でもマンションの計画があり、ニュータウンとして、地域経済の活性化も期待される。
−商業・観光−
キーワードは「地産地消」
東西で大型施設がオープン
地元の農業の活性化、地産地消の推進拠点として6月2日、長井1丁目に大型農産物直売所「ファーマーズマーケット」がオープンする。店舗では農産物や加工品の販売以外に、消費者との交流拠点として農業体験なども企画。また、「少量・多品種」の出荷を可能にすることで、地域農業の活性化も図る。現在は、出荷者の募集や施設名の選定を行っている段階。運営するJAよこすか葉山では、横須賀・三浦地域に加え、横浜地域からの来客も見込んでいる。
また、馬堀海岸インターそばに4月、開業を予定しているのが「湯楽の里・馬堀海岸店(仮称)」。掘削で湧き出た温水を利用した日帰り温浴施設。開発を手がける(株)サンフジ企画によると、2階建てで2階の海岸部は東京湾を一望できる露天風呂、1階には飲食・岩盤浴ができるスペースを計画しているという。さらに、無料の足湯や地元特産品などを販売する市場・広場を整備し、260台の駐車場を設置する予定。営業時間等は地元と調整中とのことだ。
東西に大型施設が開業することで、市内のみならず、市外からの誘客や回遊型の観光提案も広がりそうだ。
−歴史−
横須賀を象徴する
歴史遺産にスポット
今年復元50周年となる「記念艦三笠」。廃艦から一転、保存運動と戦後の荒廃を経て、現在の形に復元されたのが1961年(昭和36年)5月。昨年は、「みかさルネッサンス事業」の集客活動やドラマの影響もあり、観覧者も増加。対前年度比17%アップを見込んでいる。記念艦三笠では、50周年を記念して、企画も目白押し。4月中旬から復元の歴史を振り返る特別展示を行い、5月は記念式典や演奏会などを企画。館内もリニューアルし、電信室などをより当時の状態に近い形で復元していく予定。
また昨年夏、夏島町の市有地に移設された「東京湾第三海堡」遺構は、現在本格公開に向けて準備している。昨年11月には一般公開を記念した式典も開催。地域の歴史遺産として活用するため、NPO団体などが整備活動を進めてきた。今後は貝山地下壕を含めた歴史ツアーなども企画しているという。
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今年は4月に統一地方選挙も控え、自分の住む町を改めて見つめなおす1年に。明るい話題でスタートした2011年−これら事業の進捗・動向が注目される。
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