ティボディエ邸 復元求めて請願 議論の沸騰に期待よせる
軍都として栄えた横須賀の歴史を展示する施設の設置をめざす有志グループ「横須賀に軍港資料館をつくる市民の会」は今月18日、実現の方向性を探るシンポジウムを開いた。約50人が参加。構想として打ち出している横須賀製鉄所副首長官舎「ティボディエ邸」の復元を求める請願を12月市議会に提出する考えを山本詔一会長が発表した。
市民の会では、ドッグの対岸に位置するヴェルニー公園内を適地としており、資料館として活用するほか観光集客の目玉としても機能させていく意向。市民から集めた署名は1千筆程度に達しているという。
この日のシンポジウムで山本会長は、「2004年に米海軍が3千5百万円の費用を投じて解体撤去をした際に、市は移築保存を請け負う約束をしたはず。これが未だに履行されていない」と力を込めた。
横須賀市からは文化財担当の職員がパネリストとして参加。「ネックとなっているのは2億円程度とされる復元費用。財政難で捻出する余力がないのが実情。多額の予算を使って復元する価値や意識を市民の間で高めることが必要」と説明した。
防衛議員連盟を代表して公明党の板橋衛議員は、議会での議論を加速させていく考えを述べた。
東日本最古級洋式木造の建築物
明治3(1870)年に建造されたティボディエ邸は、現存する洋式建築物として東日本で最古級と見られている。木造の柱にレンガが詰まった「木骨レンガ充填(じゅうてん)造り」と呼ばれる工法の平屋建て。石の基礎などにも特徴がある。
解体後は旧坂本小学校に保管されていたが、先ごろの土地売却に伴い、部材は横須賀総合高校と市人文博物館に分散して再移転された。市民の会では、貴重な資料の散逸を危惧。再建が進まない現状にも業を煮やし、今回の請願に踏み切る。議会だけでなく、市民の間で議論が広がることも期待している。
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