学力向上放課後教室 教育現場で好評の声 中学校でも実施校増える
市教育委員会は、児童の学力支援を目的とした「学力向上放課後教室」を今年4月から46校すべての市立小学校に拡大させた。中学校でも実施校が大幅に増える中、部活動との兼ね合いなど中学ならではの課題に市教委の対応が急がれている。
人員不足補い全小学校で
放課後の時間を利用し少人数制で補習を行う「学力向上放課後教室」が今年度から市内全小学校で実施されている。学力に遅れが見られる児童を対象に基礎学力の定着が目的。受験やテストを意識した学習塾などの性質とは異なるという。実施頻度も初年度の週1・2回から週2・3回と増加。名称も「小学校放課後学習ルーム」から変更された。
指導者は「サポートティーチャー」と呼ばれる定年退職した元教員などが中心。初年度の時点ではニーズに対する指導者不足が課題として挙げられたが、今年度は27人から44人に増員。市教委の担当者は「初年度からの取り組みが一定の評価を得たことで同教室の意図や内容に理解を示してくれる教員が増えたのでは」と話す。
授業でも積極的に
市内のある小学校では、小学3年生から6年生の児童10人が同教室に参加。サポートティーチャーや担任が用意した課題に取り組む。児童ごとに連絡帳が作られ、理解度や今後の課題などが担任とサポートティーチャーの間で共有される。苦手を克服した自信からか、授業でも積極的に発言するなど授業態度に変化がみられる児童もいるという。校長は「(同教室は)生徒のためにもなり非常にありがたい。できれば日数をもっと増やしてもらいたい」と話した。
部活動との兼ね合い
当初、全23校中2校の実施だった中学校では教育現場からの要望を受け、19校で導入と大幅増となった。しかし小学校とは異なる中学校特有の課題が浮き彫りとなっている。
ひとつは部活動と兼ね合い。放課後は部活動の時間と重なるため、練習を抜けてまで勉強に充てる生徒は多くはないようだ。そのため授業中にサポートティーチャ―が巡回し指導することもあるなど手探り状態が続いている。もうひとつは教科の専門性。教科が増える中学校では全般的に指導できるサポートティーチャーの確保が容易ではないという。市教委では学校側と協力して定年を迎える教員に1人ずつ声をかけるなど地道な募集を行っている。
対象者は誰?
一方で保護者からは、「対象者がわかりにくい」といった意見もある。同教室の意図がよく伝わらず「誰でも参加できる補習だと思って子どもが行ってしまった」など、市が想定する対象児童とズレが生じている様子も見受けられる。「基礎学力の定着が望まれる児童」がどの程度の学習レベルを指すのかデリケートな問題であるため、学校側も直接的な表現を避けているのが現状だ。
市教委では今月まで各小・中学校を視察し、今後の課題や方針を明確にしていく予定。
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