横須賀市 優先調達 ルール明確化 「ゆかりの製品」購入、柔軟に
横須賀市が今年4月から実施している、市内ゆかりの製品の優先調達と、優先発注の取り組みについて、開始から3カ月余りで取扱ルールの方針が転換された。「保護主義的な制度で他社製品を排除することは、競争性を無視している」と議会でも批判の声が上がっていた。
市内経済の活性化を図ることを目的に施行された「市内ゆかりの製品」と「地元事業者」を優先する取り組み。吉田雄人市長の政策的判断で4月から導入されている。市内で完成品を生産し、さらに市の予算で購入・リースする可能性がある事業者の製品を「市内ゆかりの製品」として、優先して調達するというもの。 ”市内ゆかり”の対象となるのは、株式会社岡村製作所(浦郷町/事務机・椅子・棚など)、株式会社ケープ(平成町/床ずれ防止用マットレス・福祉・介護用具など)、株式会社JVCケンウッド(神明町/プロジェクター・オーディオ関連製品など)、東芝ライテック株式会社(船越町/電球・照明器具など)、日産自動車株式会社(夏島町/自動車)―5社の製品。市からの補助金をつかった事業にも、「市内ゆかりの製品と地元事業者を優先する」としていた。しかし、運用に関して、予算に対する明確なルールがなく、市内ゆかり製品と競合他社製品との価格差についても、「1割程度高くても購入する考え」(4月17日の市長会見)と、線引きも曖昧だった。
「地元経済を歪める」
6月の市議会総務常任委員会では「他の業者より高額であっても、地元企業の製品を購入するという方針は、納税者も納得しない」「こうした取り組みが全国で広がると、逆に横須賀のものが排除される恐れもあり、地元経済を歪める」と”優先”の取り組み撤回を求める意見が多く上がっていた。実際に、市内に対象企業の製品を取り扱う代理店が1社しかなく、独占状態になり、公正さを欠くという事態もあったという。
こうした批判を受け、市では先月23日、「市内ゆかりの製品の見積もりを受け、当初予算に見合わない場合は、市内製品にこだわらない」「複数事業者から見積もりを徴収し、市内企業の特約店が1社しかない場合は、競争性がないとして市内製品には限定しない」とルールを明確化。また、補助金交付の際、方針に沿えない場合は理由書の提出を義務付けていたが、実績報告書の中で、理由を選択する方式に留めた。
地元企業を守り、経済を循環させる目的で導入してから3カ月。方針転換について市長は「競争性、公平性は担保しながら1年間は試行し、その中でも最善な形を見直していきたい」と話している。
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