横須賀市教育委員会は先月、「2014年度全国学力・学習状況調査」の結果概要を公表した。小学6年生と中学3年生を対象に、今年4月に実施したもの。国語、算数・数学ともに、正答率は全国と神奈川県の平均を下回っている。
学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況の把握・分析、教育指導の充実・改善を目的に、2007年から毎年4月に行われている。実施内容は、教科(国語、算数・数学)に関する「知識(A)」を問うものと、「活用(B)」に関する問題。さらに、学習意欲・学習方法・学習環境や生活面に関する質問紙調査も実施している。市内では小学校46校3362人、中学校24校3320人が試験を受けた。
今年8月に全国の正答率結果が発表され、横須賀市教育委員会では、これを元に回答の傾向を分析。「非常に課題がある」と言う見解だ。正答率は全国平均と比べ、小学校国語Aは6・3ポイント、国語Bが5・5ポイント、算数Aは3・7ポイント、算数Bが5・1ポイント下回っている。中学校では国語Aが1・3ポイント、国語Bは1・6ポイント、数学Aが2・0ポイント、数学Bは0・9ポイント下回る結果となった。但し、小学生では昨年の実施結果と比べて、全国平均との差は縮まっている。
今回から、自治体の判断で学校別の結果が公表できるようになったが、「序列化を招く恐れがある」として、横須賀市では行わない方向だという。
生活習慣と強い関連性
「朝食を毎日食べているか」「普段どのくらいテレビゲームやインターネットをするか」「授業以外に(家庭や塾で)普段どれくらい勉強をするか、予習・復習をしているか」―併せて行われた学習状況調査の質問事項だ。これら39項目を、している・どちらかというとしている・あまりしていない・全くしていない―の4つの選択肢で回答するもの。全国と県平均の肯定的回答(している)の割合と比べて、大きな差はあまり見られなかったが、市教委は「調査教科の正答数と質問紙の回答結果は密接に関連している」と分析する。
例えば、朝食の喫食や家庭での勉強時間、読書などの項目で肯定的な回答が多い人ほど、教科正答率が高かったという。市全体でみると、図書施設の利用や「予習・復習をする」の割合が低く、テレビやゲームの時間が長い傾向もあり、家庭学習の定着に課題があるとみている。
「学力向上」命題に
今年度から『横須賀こども学力向上プロジェクト』に取り組む横須賀市。児童生徒の学習意欲向上や「確かな学力」の育成を図るのが目的だ。具体的には、「放課後サポートティーチャー」の派遣や学力向上推進モデル校の設置、教員の指導力向上支援などの事業のほか、『家庭学習啓発リーフレット』の作成・配布も行っている。
同プロジェクトでは、2017年度までの成果目標として「学力・学習状況調査の結果が全国平均値を上回ること」と定めている。市教委では「調査結果は学校教育活動の一側面を示すもので、現況を把握する資料の1つ。市が進める『学力向上』の事業をひとつひとつ丁寧に進めたい」と話す。市議からは「学習環境は家庭環境にも大きく左右される。これらの分析をしっかり行ってほしい」といった声もあり、数字がひとり歩きすることへの懸念もある。市では小学4・5年生、中学1・2年生を対象に、独自の学習状況調査を行っており、こうした結果も併せて学習指導の改善、充実に役立てたいと話している。
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