放課後に子どもを預かる「学童保育」のニーズが高まっている。厚生労働省によると昨年の児童の登録者数は全国で約110万人と10年前より40万人増。少子化に逆行するような形で右肩上がりにある。横須賀市内でもその傾向は顕著だが、受け皿の不足や高額な保育料など課題も多い。
「プリント見て、これで合ってる?」「ブロックで遊ぼうよ」―。池田町にあるしらかばこども園第一学童クラブには学校を終えた小学生が毎日20人ほど”帰宅”する。ランドセルを置いてまず取り掛かるのは宿題。指導員に見てもらった後は自由時間だ。外で鬼ごっこも良し、中でおやつや読書も良し。保護者が迎えにくる午後5時から7時頃までを過ごす。
放課後、家に保護者がいない小学生を受け入れる学童保育は現在市内で62カ所。共働きやひとり親家庭の増加もあり、ニーズは高まっている。しかし「施設数はまだ足りていない」とこの学童を運営する社会福祉法人誠心会の担当者は話す。同会は3年前、運営する保育園を認定こども園へ移行したのを機に施設内に学童保育を設置。毎年拡充してきたが、定員はすぐに埋まっていくという。「(保育園の)保護者からの声に応えたい気持ちはあるが、現状は高学年になった児童の退所や卒業を待つしかない」と頭を悩ませている。
需要に追い付かない現状は各地で起こっており、走水や沢山など学区に学童がないエリアもあるなど、地域での不均衡も見られる。
高額保育料も負担に
施設の受け皿不足に加え、市内の「小学生の待機児童」を生み出しているとされるのが”全国一”とも揶揄される高額な保育料だ。全国の平均が月に4000円〜8000円程度であるのに対して横須賀市は概ね1万6千円前後、2万円以上の所も多く見られる。
市内の学童は、児童の保護者や個人、社会福祉法人などが運営する民設民営。建物の賃貸料や人件費を保護者が負担する形で、それを賄うために保育料を高くせざるを得ない。市は家賃や人件費の補助などの支援を行っているが、現状保育料の改善にはつながっていない。
厚労省によると昨年度の横須賀市の待機児童は29人。だが市学童保育連絡協議会の担当者は「経済的な事情で断念する”隠れ待機児童”もおり、実際の数はもう少し多いのではないか」と推測している。
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市は学童施設について賃料の負担が少ない学校の空き教室の使用を推奨しており、数は増えつつある。次回の連載は「放課後の学校利用」について考察する。
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