横須賀市の吉田雄人市長は、任期2期目の折り返しとなった今月10日、自身の政策集「選ばれるまち、横須賀へ」の進捗状況と中間報告を行った。外部識者による評価委員会は、同政策集の進捗と達成率について100点満点中68・8点と採点。吉田市長は「結果が残せていない事業もあり、残りの任期でしっかりと進めていきたい」と振り返った。
市長1期目は、市政運営の方針や具体的な政策を「マニフェスト」として207項目にまとめ、達成年数や項目を細かく設定していた。しかし「契約的な側面が強調され、(職員からの)ボトムアップを妨げる」として、2期目では「政策集」に方向転換。詳細な達成時期などは盛り込まず、6分野84項目の実施目標のみを掲げたものになっていた。
今回、市長は中間評価として、全項目の実施状況と2年間の実績、今年度以降の取り組み予定、行政計画での位置付けを公表。実施済が11項目、実施中は69、未実施が4だった。「実施済のものに関しては、政策で掲げたものを進められたという自負はある」と市長。しかし、実施中の事業の中で、さいか屋大通り館跡地再開発計画を例に上げ、「現状では協議会設立支援に留まっており、再生と言えるような具体的な結果を出せていない」と振り返り、改めて継続した取り組みに意欲を見せた。
市民の実感にズレ
さらに、外部識者に評価を依頼。「市長政策集進捗評価委員会」を立ち上げ、(一財)地域開発研究所上席主任研究員の牧瀬稔氏・中小企業診断士の石井瑠美氏・敬愛大学経済学部教授の金子林太郎氏が、全項目を個別に評価した。
事業着手の有無や内容達成率、条例手続きなどの進捗を評価基準として、各項目5点満点で採点。3人の合議で総合した結果、100点満点で68・8点という評価となった。6分野のうち「行財政改革」の達成率が高く、「地域経済の活性化」は低い採点となっている。「4年間で達成するという目的の政策集であり、2年の活動で見ると高評価(50点以上が及第点)。ただ、今回は”やったか・やらなかったか”の達成度を示したもので、結果として点数は高くなったが、(経済活性など)現状をみると、市民の実感とのズレはあるだろう」と牧瀬氏は指摘。「市民が納得しやすい、具体的な数字や成果を明らかにして評価することも必要」と付け加えた。
外部評価について市長は「点数と市民の実感には開きがあると思う」と認めたうえで、「残りの任期でしっかりと取り組みたい」と話している。今回の評価結果は、市長の個人ホームページで閲覧できる。
市民オンブズマンの評
「投資的政策あるのか」
2期目の政策進捗の評価というが、政策集で掲げている項目の着手・未着手を問うだけでなく、実際の成果をしっかり検証すべきではないか。それがなければただの”お手盛り”だ。
例えば「地域経済の活性化」。市の取り組みで市民や商業者がどれだけ恩恵を受けて、実感を得ているかは大きな疑問がある。
市長は就任以来、投資的な政策にまったく手を付けていない。市議会と市民グループが復元を求めているティボディエ邸や、その先にある軍港資料館の建設には後ろ向きの姿勢が目立つ。必要性の検証や分析もしっかり行わず「ハコモノは作らない」の思考停止に陥っている。空き家・谷戸対策に関しても、時代に逆行する取り組みを進めている。かつては交通利便の問題で、軍需工場周辺に住宅が広がっていったのだが、車も入れないような悪条件な住環境を今も維持していくことにどんな意味があるのか。谷戸の空き家はこの先さらに増えていく。思い切った居住誘導などの政策が必要なはずだ。自治事務の9割は国が決めたメニュー。そうした意味では何もやっていない、の評価しかない。《横須賀市民オンブズマン代表 一柳 洋》
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