湘南蘭友会の蘭展と西湘蘭展で県知事賞を受賞した 紙谷 多佳子さん 中井町在住 63歳
夢も咲かせたい蘭の名人
○…蘭栽培の名人を訪ねると、家の中からではなく、庭から現れた。すぐさま暖房の効いた温室へ案内してくれる。「これがシンビジュームの原種ね」。ハリのある声。「朝晩は必ず。帰って来て玄関に鞄を置いたら、ここへ来るの。冬でも暖かいから、ついつい長居しちゃって」。我が子を気にかけるように、一つひとつの鉢に向ける瞳が輝く。
○…平塚ラスカで1月15日から19日まで開催された湘南蘭友会の第51回蘭展に下垂のデンドロビュームを出品。県知事賞を受賞した。同時期にあった西武小田原店での西湘蘭展2014では純白のパフィオ・ミスティックナイトで県知事賞に選ばれた。台所の窓辺に飾った白い蘭はその受賞作品なのだという。「人を家に招くのが好きだし、咲いている間はこうして最後まで花を見てもらえたら嬉しい」。ひたすら賞を獲るためだけの栽培は「つまらない」とつぶやく。手塩にかけた蘭に注ぐのは、優しい愛情だ。
○…中井町出身。花好きな両親の影響で草花を育ててきた。蘭栽培を始めたのは約30年前。当時は本を読んで独学で育てた。湘南蘭友会会員。今では展覧会のタイトルの常連として蘭愛好家たちの間で有名な存在になっている。一昨年、名古屋ドームの国際蘭展で念願だったグランプリを受賞した。一時たりとも気が抜けない温度管理。年に一度植え替える鉢の数も半端ない。それでも蘭の魅力を「手をかけた分、応えてくれるやり甲斐」と言い切る。趣味を通して話ができる友人が沢山できたことも喜びだ。「私の仕事中、温室を見に来てくれる近所の人たちの協力もあるおかげ」と話す。
○…中井やまゆり園勤務。民生委員を務め、畑を耕し「野菜はほとんど自給自足」。ガーデニングにも勤しむ。庭にテーブルを置いて友だちとお茶。東京ドームで開かれる世界最大の蘭展でのグランプリ。蘭の原産地へも行ってみたいと、快活に語る夢は広がる。
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