多摩市などに伝わる「メカイ(目籠)」と呼ばれる竹かごの製作技術(南多摩のメカイ製作技術)が先ごろ、東京都の無形民俗文化財に指定された。市内で技術を継承してきた「多摩めかいの会」は保存団体として認定を受け、長瀬敏雄会長は「うれしい。少しプレッシャーに感じるほど」と話している。
この技術は篠竹の表皮を薄く剥がしたものを材料に、かごの網の目が6角形となるように編み込んでいくもので、メカイは小物や野菜などを入れるかごとしてのほか、壁飾りに使用するなど、さまざまなタイプのものがある。江戸時代後期に現在の八王子市で技術が生まれ、多摩にも浸透。戦前にかけて庶民の間で日用品として使われ、製作にあたった農家の収入源の1つになってきたという。
めかいの会の事務局業務を担う岡野則夫さんは「農家が家族総出で製作にあたっていたよう。多摩には八王子の絹、稲城の梨のように名産品が無かったことから、お金を稼ぐため、メカイをつくっていたところがあるようです」と当時を回想する。
一方で、技術の継承が困難になっているのも事実だ。戦後、プラスチック製品などが流通するようになり、メカイの家庭での出番が無くなるなか、多摩に伝わる工芸品として忘れ去られないようにこの10年間、めかいの会は活動してきたという。
長瀬会長は「定期的に会でメカイづくりにあたる機会を設け、年に一度、市民向けの教室を開いてきた。保存団体として認定を受け、プレッシャーを感じるが、後継者づくりも見据え、活動していきたい」と意気込む。
また、岡野さんは雑草だった篠竹を使い、慣れれば、誰でも専用の包丁を用いて製作することができるこの技術を「エコそのもの。SDGsの取り組みですよ」と笑顔。「スマートフォンを入れるためのメカイをつくる人もいる。今の生活に合わせた使い道もあるだけに多くの方に知ってもらいたいと思う」と話している。
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