多摩市はこのほど、ALSOK(綜合警備保障(株))が開発したタグやアプリ等の徘徊対策商品を活用した「認知症高齢者等の見守りネットワーク」構築事業のモデル地域に選ばれ、12月から同社と連携して認知症高齢者や障害者の徘徊に対する取り組みを始めた。徘徊者の位置情報を知ることができるこのタグやアプリを活用することで、多摩市が進める「地域見守りネットワーク」の地域コミュニティによる連携強化ツールのひとつとして期待がかかる。
今回、ALSOKが開発した徘徊対策商品は「みまもりタグ」「みまもりタグ専用靴」「みまもりタグ感知器」の3つ。この「みまもりタグ」はBluetooth®無線技術を活用しており、タグを入れた専用の靴を履いた高齢者等が、専用アプリ「見守りタグアプリ」をインストールしたスマートフォンや感知器とすれ違った際に、スマートフォンの位置情報機能によって自動的にサーバーに位置情報が蓄積される。これにより、保護者が捜索する際に位置情報を確認することができ、捜索依頼情報を発信すると徘徊者の近くにいる人から情報提供を受けることができるという。
この商品を使ったALSOKの「地域が主体となって認知症高齢者等の見守りネットワーク」構築事業は、国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」として全国10カ所の市町村をモデルに実施することとなり、「健幸都市(スマートウェルネスシティ)」へのまちづくりを進めている多摩市がそのひとつに選ばれた。
手軽に位置情報収集
多摩市では、高齢者の徘徊等に対する見守りなどの取り組みとして、現在、GPS機能の付いた徘徊探知機を貸与する他、高齢者等見守りメール配信事業やキーホルダーの配布、見守りサポーター養成講座、認知症サポーター養成講座などを行ってきた。一方で、GPS機能を持つ探知機は「端末が大きく持たせるのが困難」「定期手的な充電が負担」「コストが高い」などの課題があり、加えて「捜索のために個人情報を広く公開する必要がある」「居場所を想定する情報がない中での捜索活動の困難さ」などの課題があったという。
そうした中で、今回のALSOKの事業で使用する「みまもりタグ」は、Bluetooth®を活用することで小型かつ低消費電力で、近距離無線通信を可能にし、スマートフォンや感知器で電波を検知することができる。また、アプリをインストールする人が増えることで、位置情報の精度があがり、捜索が容易になるという。
「地域で見守りを」
多摩市では、今回ALSOKからこの「みまもりタグ」「専用靴」を各200個、位置情報の提供基地局に設置する「感知器」260台を貸与してもらい、今年4月から市内の高齢者を中心に無料で配布。年明け1月からは見守りサポーターや見守り協定を結ぶ事業者等に説明会等を開き、事業周知やアプリのインストール等の協力を呼び掛けていく予定だ。
市高齢支援課では「このタグ等を活用することで単なる位置情報検索サービスに留まらず、地域コミュニティによる連携強化ツールにもなる。認知症等を見守る地域づくりを進めていきたい」と話している。
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