28日に開幕するJ2(日本プロサッカーリーグ2部)の東京ヴェルディが川崎市から東京(稲城、多摩市など)に本拠地を移して今月で20年。スポーツ教室の開催や、地域イベントへの協力などを進める同チームは、多摩の地域活性に欠かせない存在となっているようだ。
ヴェルディは1993年のJリーグ開幕当初から名を連ねた日本屈指の名門チーム。初代年間王者に就くなど、Jリーグ創世記のけん引役を務め、日本プロサッカーにおける数々の栄冠を手にしてきた。
ただ、2000年代に入るころには、Jリーグ発足時を彩ったスター選手らが移籍や引退し、成績が低迷するように。かつての輝きを取り戻せないなか、01年2月に本拠地を川崎から、練習場のある稲城や多摩などとすることを発表。チーム名にも、東京という呼称を入れ、ホームタウンとする多摩などの地域へのサッカー普及活動に力を入れるようになった。
現在、多摩とチームのつなぎ役を務める東京ヴェルディ(株)の佐藤渉さんは「12年にスポーツを通じて活力ある街づくりを共に進める協定を市と結んでからより関係性が深まった」と話し、子どもたちに向けたサッカー教室の開催のほか、スポーツ振興につながる取り組みを市と進めている。「ファン獲得という視点でも多摩は欠かせない存在になっています」
交流進む
地域との交流は進んでいる。京王多摩センター駅近くの企業や団体などで構成される「多摩センター地区連絡協議会」はヴェルディに賛助会員として加わってもらい、チームの開幕前に、駅前の施設でファンとの交流を果たす催しを毎年開催。協力してセンター駅周辺の活気づくりにあたってきた。
会の事務局長を務める加藤僚さんは「その他にも、イベントで遊具などを貸し出してくれるなど、共に地域を盛り上げてくれる存在」と笑顔をみせ、今年で15回目となる開幕前の催しは「今月20日に開催予定。昨シーズンの選手らの様子が分かる写真の展示もあります」と話す。
一方、市も全面的にヴェルディを応援する。啓蒙の一環として、職員がヴェルディのロゴの入った、ポロシャツやマスクを業務中に着用したり、諏訪の多摩市立陸上競技場を練習場に貸し出すなど、チームカラーである「緑」の普及活動に余念がない。担当の五味田忠寿さんは「ヴェルディはサッカーだけでなく、バレーやトライアスロンなど、17の競技チームをもつ総合クラブ。様々なスポーツを通じた地域活性策が考えられる」と前向きだ。
ただ、街での「緑」の浸透は十分ではないようだ。小田急・唐木田駅近くで飲食店を経営する男性は「多摩がヴェルディのホームタウンであることを知っている人は多くないのでは」と話し、ヴェルディの佐藤さんも「我々が街で高齢者支援の取り組みを行っていることを知っている方は少ない。周知不足が課題なのは事実。今後、ヴェルディが街の話題にあがるようにより存在感を出していきたいと思う」と話している。
多摩版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|