3人の従業員が無抵抗のまま拳銃で殺害された八王子市で起こったスーパーナンペイ事件――。
1995年の発生から10年以上経過してから担当刑事として捜査に参加。「新たな糸口を」と地道な捜査を重ね、参考人の話を聞くため、カナダに渡ったこともあったがいまだ未解決。「犯人像が絞り込めないでいる。被害者、遺族に申し訳ない気持ちを持ち続けてきた」と退職前に残る無念。「逮捕を」後継者に引継ぎしていくことを誓う。
通称、「マル暴」と呼ばれる暴力団対策の部署に長く在籍してきた。大きな声でスキンヘッド。強面の相手にも負けない迫力をもつが、弱いものいじめを嫌う心をもつことが警察官として一番の強み。新宿など日本でも有数の繁華街などを担当しても、相手に対して怖いという感情を抱いたことはなかったという。「職務ですから。当然ですよ」。空手道を追求してきた体育会の黒帯がぶれない心を生んできた。
伊豆の港町出身。漁師の息子として育ち、「地元が一番」が口癖だ。コロナの感染が広がる前は毎月のように実家へと帰省し海に潜ったり、釣りを楽しんだり。田舎が多忙のなかの息抜きになってきたという。
そんな自然児。大雑把にみえて実は気遣いの人。関わる一人ひとりの細かい内情を把握し、事あるごとに声をかける。人情派といわれるゆえんだ。
退職まで残りわずか。「使えない刑事だった」とこれまでの警察人生を振り返る。そして、ナンペイ事件を解決できず、「反省しかない」とひと言。ただ、多くの人たちの力になっていたことは退職を惜しむ声が絶えないことが表している。
最近、自宅近くの空手道場に入門。段もちを隠し、「白帯から。途中で驚かせようと思ってね」。お茶目な面も持ち合わせる。そんな刑事が今月去る。
多摩版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|