産卵のため、多摩川河口から上流へと遡上するアユが今年は昨年に比べ増加しているようだ。調査にあたる東京都によると、今年は3月9日から5月19日までに12万5525尾が定置網で確認され、その数は昨年同時期のおよそ7倍になるという。都担当者は「定置網に入ったアユの数から今年の遡上数を推定することになるが、昨年より多くなるのは間違いないと思う」と話している。
調査は多摩川河口より11キロメートルの地点で定置網を設置し、アユの数をカウント。5月末までの数から今年の遡上数を推定し、6月に調査結果として公表する予定という。都は1983年からこの調査を毎年行い、昨年は3月17日から5月末までに1万7518尾が定置網で確認され、遡上するアユを32万尾としていた。
昨年は遡上するアユの数が直近の10年間で最も少なかったといい、都は2019年10月に起きた大型台風による影響の可能性が高いとみている。
「台風の濁水によってアユやその卵が流されてしまい、その影響が続いてきたと思われる。アユ遡上数の大幅な減少は一昨年から。今年はアユが戻ってきているようだ」と都担当者は期待をよせる。
当初確認できず
都が調査を開始した80年代は、多摩川でアユの遡上を確認することはできなかったという。下水能力が現在よりも整備されていなかった時代。家庭の生活排水が流れ込み、多摩川の汚染が進行していたため、清流を好むアユが寄りつかない状況にあったようだ。
そんななか、都は「江戸前アユ」として都民に親しまれてきたアユを復活させようと川を見守る多摩川漁業協同組合らと多摩川の浄化に取り組んできた。
漁協は産卵場を整備し、多摩川の清掃活動などに取り組み、「親アユの放流も行ってきた。今ではアユ釣りを皆さんに楽しんでもらえるようになった」と漁協関係者。一方で都担当者は「平成の時代になって遡上するアユがみられるようになった。推定で1000万尾を超える遡上があった年もみられた」と振り返る。
6月には釣り解禁
多摩市に近い多摩川では6月からアユ釣りが解禁となる。釣りを楽しむには漁協が発行する遊漁券が必要で、「1日券」と「年間券」があるという。
魚協関係者は「アユ釣りは12月31日まで。全長10センチ以下は採捕禁止なもどのルールがある。確認のうえ、楽しんでもらえれば」と話している。
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