大山「夢心亭」で行われる音楽会でピアノ奏者を務めることになった 高松 京子さん 高森台在住
秘めた音楽への情熱
○…「私に特技はありません。ただ、音楽をしている時だけは自分に自信が持てます」。謙虚な姿勢と笑顔が印象的だ。決して自分を大きく見せたりはしない。このほど、大山豆腐料理店「夢心亭」で毎月行われることになった音楽会にピアノ奏者としての参加を決めた。「障害者でも気軽に参加できる楽しい音楽会をやりたい」と、店のバリアフリー工事にまで踏み切った店主の言葉を受け快諾した。「音楽で人の役に立ちたいんです」。 瞳をそらすことなくそう訴える。
○…東京都に2人姉妹の長女として生まれた。音楽好きな両親の影響で、小学生になるとピアノ教室に通い、中学ではコーラス部に。「私よりも妹の方が音楽は得意だった」と頭をかくが、音楽への情熱は誰にも負けなかった。高校卒業後は、専門学校で2年間、声楽やピアノを勉強し、その後、昭和音楽大学に進学した。伊勢原に移り住んだのはこのころ。「伊勢原は私にとって大切な場所」と語る。
○…大学卒業後は、音楽のプロを目指してレッスンを重ねながら、飲食業などさまざまな仕事で生計を立てた。転機は今から12年前。それまで病院とは縁のなかった健康な体が悲鳴をあげた。ストレスなどが原因の病に倒れ、大手術を受けた。1カ月におよんだ入院。「人の命はいつ終わるか分からないんだ」。幸い元気を取り戻したが、病院のベッドでは日々そう感じた。
○…「自分が一番輝ける、頑張れるものは音楽。残りの人生、音楽で人の役に立ちたい」。退院後、音楽指導の仕事をしながら合間をぬっては高齢者施設や障害者施設で音楽会を行ってきた。自身が歌うこともあるが「基本は皆さんと一緒に」。上手い、下手ではなく、音を楽しむ。その思いで今日まで来た。「同じ時を過ごす方たちと音楽を楽しむこと。これだけは特技と言えるかもしれません」