トップインタビュー 地域密着の支援を強化 「強くてやさしい」推進
景気は依然として厳しい状況が続く。「強くてやさしい」を経営モットーに掲げる三浦藤沢信用金庫は、どのような考えを持って地域経済の活力づくりに挑むのか。平松理事長に聞いた。
──地域の景況をどう感じていますか。
輸出産業の不振などで県内は総じてよくありません。そうした中でもう一段悪い、というのが横須賀の状況でしょう。止まない人口減少に企業誘致も足踏み状態。手詰まり感が強まっています。そうした中で3月に金融円滑化法(中小企業などに対する金利引き下げや返済負担を軽減する措置)の期限が到来します。中小企業では経営改善が思うように進んでいないのが実情です。ですから、終了後も支援体制は崩さない。取引先と、とことん向き合っていく方針です。
──停滞ムードを打破する方策はあるのでしょうか。
私案にすぎませんが、研究開発機関が集積するYRPに試作品をつくる工場を併設するなど、横須賀の内需拡大に軸足を置いた企業誘致を更に推し進めなければならないと思っています。地元の事業者が係わり雇用も確保する。現時点で企業側にその考えはないかもしれませんが、時間をかけてでも取り組む必要があります。これもまた持論ですが、この地域は山や崖が多いためその補修や下水道管の強化チェック、また階段のバリアフリー化工事を行う。工事は地元業者を優先的に発注する。”横須賀版ニューディール政策”です。
──観光事業の支援に力を入れています。
三浦半島の観光再興を横浜市大の学生達と研究会を立ち上げて、その方策を探ってみました。彼らや当金庫の職員の協力で地域活性化分析と提案書がまとまりました。役所と会議所に提言させていただく予定です。さらにもう一つ。今年、栄町支店(JR衣笠駅前)をリニューアルするのですが、衣笠城をイメージした建物に衣替えします。一角には三浦一族を顕彰するコーナーも設けます。(三浦一族)研究会のメンバーや地域の方に運営を委ね、観光PRの拠点として機能させます。
──昨年はビジネスマッチングにも乗り出しました。
東京地方税理士会と提携し、中小企業間の経済交流を活発化させるマッチング事業をスタートさせました。販路拡大や原材料調達などの面で支援できればと。今年は100組規模の商談会を年に3〜4回開きたいと考えています。取引先の売上や利益を向上させるコンサルティング業務は、ファイナンシャルプランナーや中小企業診断士の資格を持つ職員が中心となって行っていますが、地域の営業担当もそうした意識を持っています。
──社会企業家の先駆とされる渋沢栄一の思想や理念をあちこちで語っています。
渋沢が唱えた「論語と算盤」は、社会規範の順守と儲けという、二つの命題への向き合い方を示しています。「論語の心で算盤をはじく」という言葉もあり、適正かつ継続的な利益を計上しながら、社会のために正しく還元していくことを説いています。当金庫に置き換えると、強固な財務体質を確立し、地域の一員としてお役に立つ行動を取る、ということになります。経営者の理念が企業の風土を形づくります。自分自身を律する意味を込めて、お話をさせていただいています。
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