横須賀美術館(鴨居4の1)が展示公開の場に加え、観光集客の発信拠点としての機能を高めている。今年4月に教育委員会から市長部局(文化スポーツ観光部)に移管し、市の施策と連動させた事業も展開していく。2月10日に発表された来年度予算案では、放送中のNHK大河ドラマに関連した運慶仏像の展示や野村萬斎氏による能楽の上演などの企画も盛り込まれている。
上地克明市長は2021年1月に行われた市総合教育会議で美術館や博物館、図書館などの「社会教育施設」の在り方について「市の様々な施策と絡めながら、官民の垣根を越えて学習機会を提供していくことが望ましい」との検討を投げかけた。その対象となったのが横須賀美術館。市教育委員会は社会教育委員への聞き取りなど協議を行い、市長部局への移管を進める意見をまとめた。同会議の審議を経て、今年4月から管理等に関する事務を同部局が担当する。今後、市は市教委との緊密な連携を取り、社会教育機関としての役割も維持していく。上地市長は昨年10月の同会議で「観音崎エリアはアートを活用したまちづくりの中で大きなポテンシャルを秘めている。展示作品と結びついた音楽や舞台芸術をコラボレーションさせることで、その価値を高められる。これにより市民の美術館への愛着や誇り、教育機関としての機能充実につながる」と期待を示していた。
展示に「横須賀色」
今後は、ロケーションを活かした観光・集客施設としての価値を高めるとともに、横須賀独自の文化発信や「アート」「美術館」に親しめる機会をさらに増やしていく考え。来年度予定されている展示もその色が強く出ている。
企画展では、大河ドラマに関連した「800年遠忌特別展示 運慶 鎌倉幕府と三浦一族」(7月6日〜9月4日)、スカジャンのルーツや刺繍デザインに焦点を当てる「PRIDE OF YOKOSUKA スカジャン」展(11月19日〜12月25日)、地階の所蔵品展では、小田扉さんによる連載漫画『横須賀こずえ』展(4月9日〜6月26日)が決まっている。
「アートの捉え方」変化
同館に関しては、かつて人気ロックバンドの関連展示が行われた際に、芸術(アート)の線引きや集客施設としての美術館の在り方が論議されたことがあった。これに関して上地市長は2月10日の会見で、「古典的なものだけがアートなのか、線引きは難しい。時代とともに捉え方も変わっていくもの」とコメントした。同館では、すでに新たな取り組みに着手しており、現在開会中の横須賀総合高校美術部による特集展示や市指定重文の公開は初の試み。音楽イベントなども積極的に展開している。また、今月14日には認知症当事者らを対象にした美術鑑賞プログラムを実施しており、社会教育施設として多様な連携・活用も進んでいる。
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