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横須賀美術館 「定年のない」絵描きの生涯 生誕120年記念「猪熊弦一郎展」

文化

公開:2022年9月16日

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猪熊弦一郎《三人の娘》1954年横須賀美術館蔵©The MIMOCA Foundation
猪熊弦一郎《三人の娘》1954年横須賀美術館蔵©The MIMOCA Foundation

 20世紀を代表する画家・猪熊弦一郎(1902〜93)の生誕120年を記念した企画展が、9月17日(土)から横須賀美術館(鴨居)で開かれる。

*  *  *

 小学校の時から絵が得意で旧制丸亀中学校(香川県)を卒業後、東京美術学校(現・東京芸術大学)洋画科に入学し、藤島武二に師事。帝展で入選、特選と実績を残したが、帝展の改組を機に、小磯良平ら有志と新制作派協会を設立した。

 そして、海外に羽ばたく美術学校の同級生から遅れること10年、妻と二人で降り立ったのがフランス。アンリ・マティスの批評を受けて画家としての表現を悩みながら模索、作風を時代とともに変化させた。

 帰国後、陸軍省派遣画家としてフィリピンを経てビルマに派遣されると、独立式典や鉄道建設現場などのスケッチ取材にあたった。日本に戻ると、フランスで知り合った藤田嗣治らと津久井郡吉野町(現在の相模原市緑区藤野)に疎開し、終戦を迎えた。

アートを身近に

 デザインや本の装丁、雑誌の挿絵なども多く手掛けた猪熊。代表的なものの一つが、百貨店・三越の包装紙『華ひらく』。散歩中に拾った石を、鮮やかで濃いピンク色で表現した。百貨店初のオリジナル包装紙で、今も変わらず親しまれている。ほかには、小説新潮の表紙絵も約40年間担当し、商業美術にも積極的に関わった。

 画家としての活動も多岐にわたり、51年には国鉄上野駅中央ホール壁画『自由』を制作、慶應義塾大学壁画『デモクラシー』(49年)をはじめ、数多くの公共施設に作品を設置し、"パブリックアートの先駆者"としても知られるようになった。

 こうした国内での制作と並行して、ニューヨーク、そしてハワイと日本を行き来しながら絵を描き続けた猪熊。「絵描きには定年がない。死ぬまで未知のものに向かって走り続ける」と話し、90歳で亡くなるまで、精力的に活動した。

 故郷の香川県では91年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館が開館。約2万点が本人から寄贈されており、今回の企画展は、同館の協力で代表作と共に壁画やデザイン、オブジェなどの作品を紹介しながら多才な画家の全貌に迫る。

 会期は11月6日(日)まで(11月3日(木)は無料観覧日)。詳細は、同館【電話】046・845・1211

猪熊弦一郎『顔80』1989年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵©The MIMOCA Foundation
猪熊弦一郎『顔80』1989年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵©The MIMOCA Foundation

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