急傾斜の雪上を駆け下りるスピードを争う競技、スノーボード・アルペン。津久井在住の余郷隆正さんと妹のさくらさんは、雪の無い横須賀から兄妹で世界を目指している。2人は現在、強化指定選手(SAJ2023―24)に選ばれている。
雪山に足しげく通っていた父の影響で、隆正さん5歳、さくらさんが3歳の時にスノーボードを始めた。隆正さんは中学では野球部、追浜高時代はラグビーに所属し、約6年間、競技とは離れた生活を送った。高校3年生の部活動引退後、本格的に競技を再開。幼少期から雪山に親しんでいた事に加え、部活動で鍛えた身体能力を活かした力強い滑りで、2021年には国内強化指定選手へと選出されるなど、破竹の勢いで雪上を駆け上がっている。
法政大学に通うさくらさんは、小学1年で大会に初出場、中学生になると表彰台の常連になるなど、幼少期からの経験と努力で、昨年3月に行われた第29回全日本スキー選手権大会女子PGSでの準優勝、オーストリアFIS大会で準優勝を果たすなど、その調子はうなぎのぼりだ。
2人は選手としてのレベルの指標となる「ポイント」が得られる国内外の大会に参戦しながら、冬のシーズン中を長野県菅平にあるスキー場を拠点に活動。今年は2週間の中国合宿でシーズンインをし、現在トレーニングに励んでいる。
我慢強く狙う世界
「滑りが上手くいかない時に助言をくれて頼りになる」と話すさくらさんに対し隆正さんは「努力でしかできない部分があり才能がある」とお互いを評価する。競技歴にこそ差はあれど、尊敬しあう兄妹愛を覗かせる。
実家は津久井にある法蔵院。隆正さんは「いずれは父の跡を継ぐ」と決めており、僧侶と選手、二足の草鞋を履くことも視野に入れる。2022年に行った修行では、摂生により体重が5kg減少。従来の筋力に戻すため昨年夏にはカナダで身体面を鍛え上げた。
2026年に行われるイタリア・ミラノでの冬季五輪。現状、世界トップレベルの選手の年齢が30歳代という事に触れ、「努力や経験が重要なスポーツ」と分析し、「若い内から大会に出る回数を増やしていきたい」と目下の指針を語り、2030年の五輪にも焦点を合わせる。
「努力できる年に」と2人は口を揃える。昨年は大学生活や修行との兼ね合いもあり大会の結果は振るわなかった隆正さんは春から夏にかけて体力面での調整を続けてきた。さくらさんは大学に通いながらの競技人生。体力面など前年よりも「強くなること」を意識し高みを目指す。
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