五輪やパラ五輪同様、4年に1度開かれる聴覚障がい者のための国際スポーツ大会「デフリンピック」。誕生から100年の節目となる次回の2025年大会は、初めて日本(東京都)で開催されるが、同大会のバスケットボール種目への出場をめざして練習に汗を流す双子の"デフアスリート"がいる。県立横須賀大津高校3年の加藤志希さん・志野さん(鴨居在住)姉妹だ。
聴力に多少の差はあるが、生まれつき耳に障がいを持つ2人がバスケットボールを始めたのは鴨居小1年の時。祖父母・父母・兄が経験者という"バスケ一家"に生まれ育ち、興味関心を持つのは必然的なことだった。
地域のミニバスクラブ、鴨居中、そして現在の横須賀大津高。成長とともに所属するチームは変わっても、コミュニケーションが円滑になるよう手話を覚えてくれた仲間たちやコーチの根気強い指導、家族の存在が支えになった。高校2年から昨秋までは揃って部長と副部長を務め、22年・23年の県大会でベスト8入りを幾度も果たすなど、健聴者の中で楽しくプレーを続けてくることができたという。
活躍する姿で恩返し
そうした環境下で出会った、補聴器を外した"音のない世界"で戦うデフバスケは新鮮で、当初は喜びと戸惑いが入り混じった。補聴器を装着すれば比較的円滑に意思疎通できる志希さんは「聞こえない・しゃべれないことが嫌で、練習には後ろ向きだった」と話し、普段から明瞭に聞こえにくい志野さんは「全員が聞こえない対等な関係でいられることに喜びを感じた」と振り返る。
22年に行われたデフバスケ女子日本代表を選出するトライアウトを通過。昨年は強化指定選手に招集され、合宿や試合を通じて技術とチームワークを高めてきた。
目標とするデフリンピック出場メンバー決定まで約1年。射程圏内にはいるが、個々のレベルに応じてランクの昇格降格があり、まだ気は抜けない。二十歳の年、2人で一緒に大舞台に立つ夢まであと少し。「応援してくれる家族に良い報告で恩返しができたら」、「自国大会で代表として戦う姿をみんなに見てもらいたい」。あふれる笑顔で飛躍を誓った。
コミュニケーション力に長けてチームを献身的に下支えする志希さんと、ストイックな勉強家で高い得点力で切り込むる志野さん。性格もプレースタイルも真反対で子どもの頃は喧嘩が絶えなかったと言い、「実は進学する大学も同じ。当時の同級生が知ったら驚くかも」。今では互いがかけがえのない存在だと胸を張る。「いてくれなければここまで続けて来られなかったから」
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