日の出町にある居酒屋「やきとり竜馬におまかせ」店主の齋藤秀一さんは、横須賀市の地名の由来や歴史を記した本を市制施行記念日の2月15日(木)に発行する。昨年10月から始めたクラウドファンディングで製作費を募っていた。市内の小中高や図書館、行政センターなどに寄贈する予定だ。
「横須賀の歴史を語り継ぐ人が減少している」―。齋藤さんは歴史研究などを行うサークル「湘南海援隊」の代表を務めており、自身より上の世代が伝えてくれた横須賀史を「自分の世代で絶やしてはいけない」という想いで今回のプロジェクトに乗り出した。その気持ちに呼応するように、高齢などの理由で自分は伝えられない人などからの支援が相次いだ。
全ての町名を網羅
「『よこすか愛しているかい?』知れば知るほどもっと楽しい横須賀散歩」と題した今回の著書。現在横須賀市で使用されているすべての町名の成り立ちを紐解いた全三巻編成を計画。同サークルの活動を通じて齋藤さん自身が郷土史家への聞き込みや風土記などを読み解きまとめたもので、第一巻には追浜地域などの北部、汐入や横須賀中央などの地域を掲載。その中でも安浦地区の埋立事業で新たな町として生まれた平成町のエピソードが特徴的だと話す。市は1988年に同町の名称を市職員を対象に公募。200近い候補の中から、翌年2月に平成町という名前が選ばれた。同年の1月には新元号の平成がスタートしているが、これは単に元号から名を冠したわけではなく、平成には「平和を達成する」という意味が込められており、平和産業港湾都市を目指していた市にとって最適な名称だった。ほかにも酒蔵(酒元)に足を運ぶために坂を超えて行ったという由来を持つとされる坂本町など、まちの成り立ちを網羅している。来年の市制施行記念日には久里浜や野比などの地域を記した第二巻、その翌年の同日に西海岸地区に焦点を当てた第三巻を発行する見通しだ。
各校へ寄贈
現在は完成した本を市内公私立小中学校に寄贈するため、市教育委員会を通じ準備を進めている。「横須賀市は歴史の宝庫。これを子どもたちに伝え残していかなければ」。郷土資料などは図書館でも読むことが出来るが、古い書物には崩し字などが使用されている事が多く、読み解くには労力と時間を要する。主な受け取り手となる子どもらには「出来るだけ楽しく学び、歴史を学ぶ興味の入り口になってくれれば」という願いも込めて、難しい漢字にはふりがなを振るなど「とっつきやすさ」を重視したという。
歴史を伝える事で、横須賀市以外の人に「『住んでみたい』と思ってほしい」と齋藤さん。横須賀市民には「さらに愛着心を深めてもらえれば」と期待を込める。
先行販売も
各所への寄贈などに加え、「やきとり竜馬におまかせ」でも販売する。また、2月10日(土)・11日(日)に本町の市民活動サポートセンターで開かれる「のたろんフェア」では先行販売を行う(1冊600円税込)。
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