福祉×格闘技の異色雇用 日本初の実業団制度
三浦半島を中心に福祉介護事業を展開する「しんわグループ」は、プロ格闘技選手をめざす人材と介護福祉スタッフの雇用をマッチングさせた本格的な格闘技実業団制度を行っている。生計基盤を安定させたい選手と、慢性的な人手不足を抱える福祉業界のニーズが合致した日本初の試み。両者が抱える背景と取り組みの様子を取材した。
同グループは将来、プロの格闘家をめざす選手の育成のため2006年から実業団制度を設けている。所属選手は、平日午前8時半〜午後5時半まで同グループ企業内で正社員として勤務。就業後の午後6時から同社が運営するジムでトレーニングに励んでいる。
仕事内容は主に介護福祉業務。老人ホームや移動が困難な高齢者の外出の介助に携わっている。福祉と格闘技。従来では相容れない分野だが福祉業界の慢性的な課題は若手スタッフの確保で、選手も貴重な人材となっている。長い階段や坂の上に住む高齢者の外出時には背負って移動することもあるなど、格闘家ならではの若さと体力は介護の現場で大いに役立っている。「安心して頼れる」と利用者の評判も上々だ。
一方、プロ格闘家をめざす上で必要となるのが安定した収入源と練習環境。一般的な選手の多くはアルバイトとの掛け持ち生活を送っている。「精神的な不安を取り除くことで競技だけに集中できるため、練習も効率的になる」としんわスポーツアカデミー代表の山城裕之さんは分析する。仕事あっての競技という意識が高いことで勤務姿勢も自ずと真剣にもなるのだそうだ。大会・遠征長期休暇が認められ、ジム使用料は無料。業務で必要な介護系資格取得の支援と社内のバックアップ体制は充実。同制度を使ってチャンピオンをめざしている高山洋貴さん(22/久里浜出身)は「安定した環境を提供してもらいとてもありがたい。職場スタッフの理解もあって練習に身が入る」と日々の充実ぶりを伺わせる。
生計基盤に不安を抱く格闘家と、慢性的な人材不足に悩む福祉業界のニーズが合致した実業団制度。今後は、取り組みの拡大も視野に入れて展開していく。
明日、横須賀大会開催
実業団に所属するウェルター級王者の山田哲也選手をはじめ、選手らは明日12日(土)、市総合体育会館サブアリーナ(不入斗1の2)で行われる格闘技大会「ZST in YOKOSUKA」に出場する。時間は午後1時半開場。1時40分から第一部、3時から第二部開始。
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