「第12回日本版イグ・ノーベル賞」研究部門で「落雷観測賞」を受賞した 成田 知巳さん 湘南工科大学 教授 52歳
世に役立つ「落雷研究」を
○…世の中を元気に明るくするユニークな研究や活動などを称賛する「第12回日本版イグ・ノーベル賞」の研究部門で「落雷観測賞」を受賞した。湘南工科大学の教授として落雷観測を研究し、センサーで落雷位置を測定するネットワーク装置「ブリッツ」の受信局を日本で初めて導入した。現在は全国21カ所に導入、アジア・オセアニア地域の落雷位置情報をWebサイトで共有できるようになった。「マイナーな研究を注目して下さって有り難い。落雷研究も、実は裏方で役立っているということを知ってもらえれば」と微笑む。
○…東京都大田区出身。小学校では理科クラブに所属し、実験が大好きな男児だった。「今思えば、新聞の天気図を切り抜いて集めていた。天気図が好きというよりは理科の先生に憧れていたんだと思う」。卒業式で先生から贈られたメッセージは『一見茫洋としているが、理科の才能があり、将来は発明王になる』―。「とても驚いたので、今でもはっきり覚えています」
○…東京理科大学・大学院では半導体の研究に励んだ。勤め先の東京電力では、送電線を管理する現場を経た後、送電線や変電所の落雷対策を担う研究所へ。「雷の知識も無くて最初はキョトンとしていましたよ」と笑う。気象学も学び、今や天気図の解読もお手の物だ。
○…3年前、働きながら東京大学で博士号を取得したことが転機になった。母校で非常勤講師を務め、半年後には湘工大の教授に就任。「心の底に『理科の先生になりたい』という気持ちがあって、やっとそこに戻ってきた感じ。でも、教授と呼ばれるのはまだ慣れない」とはにかむ。ゲリラ豪雨や停電の頻発で研究が注目され、この2年は新聞やテレビの取材に追われた。11月には、昨年落雷被害による多数の死者が出たバングラデシュに受信機を設置してくる。「災害対策など研究を通じて世の中に役立ちたい」。雷博士の活躍はますます注目を集めそうだ。
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