2018年度の「藤沢マイスター」に選ばれたガラスアーティスト ノグチ ミエコさん 菖蒲沢在住 48歳
神秘の世界、ガラスで表現
○…ガラス玉の中に幻想的な世界が浮かび上がる―。それは時に宇宙であり、深海であり、江戸の有名絵師が残した赤富士であり。このほど、ガラス工芸作家としての功績が評価され、極めて優れた技術者に贈られる「藤沢マイスター」に選ばれた。市では10職種10人目の栄誉。「地域に根差して活動したいと考えていたので、何ができるか、今後が楽しみ」と表情をほころばせる。
○…手掛けるのは、高温に溶けた種を竿で巻き取り、空中で成形する「宙吹(ぶ)き」。予め風景を層で表現し、ガラスの中に閉じ込める。作業時間にすればわずか数十分ほどだが、それは膨大な試行錯誤を重ねた結果。千度以上にもなる高温の素材は意図せず気泡が生まれたり、化学変化で色や形が変わってしまったり、失敗も数多ある。「でも、逆にそれが作品にインスピレーションを与えてくれることもあるのが面白いところ」と笑みをのぞかせる。
○…美大では陶芸を専攻したが、元々志したガラス工芸への道が諦めきれず、サークルで制作を続けた。卒業後、横浜の工房を経て35歳で独立。その後も創作活動を続け、今や欧米やアジア諸国での展示、ASEANとの友好記念制作を日本政府から依頼されるなど、その芸術性の高さは国内外で高い評価を得ている。最新作は宇宙空間から遺伝子の世界までを10の球で表現した「10xm」。極限の空間をも作品に落とし込む、自身の真骨頂だ。
○…辻堂から菖蒲沢に工房を移したのが10年前。現在は工房でのワークショップや学校や地元施設の子どもたちを対象にした体験教室などにも力を注ぐ。自らが感じるガラス工芸の魅力を次世代に。マイスターとしての活動も「藤沢市の未来を思い描きながら、皆さんとイメージを共有できたら」と結んだ。
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