毎月、善然寺でカフェを開いている副住職 戸田 由美(ゆうび)さん 長後在住 56歳
誰もが集える場所を
○…「ここでゆっくりして、悩みがあれば聞きますよ」と笑顔で来る人を出迎える。昨年9月から傾聴カフェ「あまカフェ」を毎月第一水曜日に開催し、地域の人の憩いの場を提供している。お菓子やお茶と共に、他愛もない話に花が咲く。家族や友達に話せなかったこともこの場なら不思議と話せてしまう。参加している人にとってオアシスのような存在だ。「カフェをきっかけにお寺を身近に感じてもらえたら」
○…傾聴カフェを開こうと思ったきっかけは東日本大震災。傾聴ボランティアとして被災地へ向かった。現地では大切な人を亡くした人や家を失った人たちに出会った。アドバイスを送るのではなく、話をしてもらって、ただ黙って聞く。被災者からは「思いを吐き出すことで気持ちが楽になった」と言葉をもらったことが傾聴カフェをやる後押しになった。「地元でも悩んでいる人がいるならば力になりたいと思うようになって」と目を細める。
○…山が好きでスキー場で料理の仕事をした経験を経て、寺へ嫁いだ。普段は経を読み、掃除、庭の手入れを行い、週末は法事を行う。カフェ以外にもボランティアとして電話相談や病院へ赴く。お茶を飲みながら話を聞いたり、工作をしたり。ふとした瞬間に相手から告げられる「ありがとう」。そんな何気ない感謝の一言がボランティア活動の原点だ。「お礼を言われるためじゃないけど、やっぱり人の役に立てていると実感できるから」とやりがいを話す。
○…当面は長くカフェを続けることが目標。カフェをきっかけにして、寺が誰もが集える場所として認識してもらえるよう目指す。「話すことで気持ちが楽になることもある。ここにきて、ホッと一息ついてもらえれば」と微笑んだ。
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