「江ノ電沿線新聞」への連載などを通じ地域の地蔵の伝承に努める 中島 淳一さん 大庭在住 67歳
民間信仰の象徴、次代へ
○…地域に点在する仏像、地蔵にまつわる言い伝えなどを調査・研究し、講師を務めた関連の講座は100回以上。「江ノ電沿線新聞」には2000年から「湘南のお地蔵様」の連載を始め、掲載はこれまで130回以上に及ぶ。最近では、小出小学校(茅ヶ崎市)に90年近く設置されてきた「みどり地蔵」について調査、掲載し大きな反響があった。
○…仏像に興味を持ったのは高校生のとき。LPレコードのジャケットに描かれた仏像の神秘性に心を奪われた。大学では仏像を研究するクラブに入部。京都、奈良などの仏閣巡りに没頭した。卒業後は藤沢市の職員に。最初に配属されたのが歴史・文化資料の収集や展示を担う「藤沢市文書館」だった。「文化財調査に補助員として携わったことで、調査の方法を学べた上に、仏像の知識をさらに蓄積できた」と振り返る。公民館に異動してからは社会教育主事として主に「生涯学習畑」を進んだ。館長として30年ぶりに文書館に戻った後、定年退職。現在は茅ヶ崎市史編さん委員などを務める。
○…妻と2人暮らし。長男、長女は結婚し5人の孫に恵まれた。現在は仏像を学ぶ2つのサークルの講師を務め、資料作りを兼ねてメンバーと寺社巡りに繰り出すことも多い。ただ、家族は仏像や地蔵への関心は薄いようで、「孫だけでも興味を持ってくれたら」
○…自身にとって仏像とは「当時の信仰を肌で感じられるもの」。中でも民間信仰の象徴とされる地蔵は「地域が守り続けてきた思いがある」と説明する。今後は湘南から神奈川県内全域へと調査エリアを広げ、地域に伝わる地蔵を中心に紹介していきたい考え。「活字で残さないと次の世代には受け継げない」と執筆への意欲は衰えない。
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