4月1日付で茅ヶ崎市消防団の団長に任命された 長嶋裕(ゆたか)さん 十間坂在住 61歳
世のため街のために
○…海に面しているだけでなく、脇道は狭く民家が密集しているため延焼の危険が高い、県内でも特有の場所である茅ヶ崎。生まれ育ったこの場所で市消防団の団長に任命され、22分団403人の消防団員のリーダーとなった。「人の上に立つような柄じゃないけど、引き受けたからには責任を持って務めます。団員には任務だけでなく消防団活動の楽しさも伝えていきたい」。多くの出会いが自身の大きな財産になっているからだ。
○…入団は22歳の時。父親も消防団員だったため疑いもなく入団を決めた。家業の米穀店を本格的に手伝い始めた頃で、地域の人たちとの付き合いの必要性を感じてのことだった。少年時代から当たり前のように米の配達など父の仕事の手伝いをしていたため後を継ぐことは暗黙の了解だった。「継ぐ、継がないの話は父と一度もしなかった。長男だからそういうものだと考えていた。サラリーマンへの憧れはあったけどね」と目を細める。
○…初出動の時は昨日のことのように覚えている。「どうしていいか分からず立ち尽くした。風向きが変わり煙で息ができなくなりそうになった」と現場の様子を生々しく振り返る。当時は現在と住宅事情も違い、火災が多く発生していたことから、若い団員たちはみな現場で先輩たちの指導を受けながら消防活動を学んだ。「地域の人とたくさん出会えるのが消防団の魅力。それと世の中の役に立っているというやりがいですかね。消防活動は経験を積むことで安全に活動できますから」
○…釣りやキャンプなどが趣味でゴールデンウィークには毎年山に出かける。「川釣りが好き。この時期は新緑で山の景色は最高。でも今年は忙しくて行けない」と肩を落とす。しかし壁に視線を移すと目線の先には6カ月になる初孫の写真が。「この子との時間が一番楽しいね」とこの日一番、最高の笑みを浮かべた。
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