サーフ90茅ヶ崎ライフセービングクラブの代表を務める 小川 惠一郎さん 萩園在住 60歳
「有言実行」で範を示す
○…「とにかくじっとしていられない。だから周りから『カツオみたい』と言われる」と日焼けした肌とは対照的な白い歯を見せて微笑む。1999年に県から独立する形でクラブを発足。救命活動や海岸パトロールのほか、講演や指導など、長年の地道な活動が評価され、このほど全国で海辺の保全活動を展開する「シーバードジャパン」から拠点の開所に伴い、水上バイクが贈られた。
○…18歳で赤十字の水上安全法のライセンスを取得し、西浜のクラブに入ったのがライフセーバーの始まり。その後スイミングスクールのコーチやプールの施設管理など海と関わり続けながら「水の指導者」としても人生を費やしてきた。「人命を救えた時が何よりうれしい。ただ救えなかった命があるのも事実」。何かを思い返すように目を伏せる。「僕らの活動はどこからか表彰されるものではないが、どこかで誰かが見ていてくれたらいい」
○…東京日本橋生まれ。3歳の時鵠沼に移り住み26歳で茅ヶ崎へ。「子どもの頃は父親と海ばかり行っていた。水泳はコーチもしていた父の影響」と懐かしそうに目を細める。少年時代から運動神経に長けていた。水泳部に在籍し、水中だけでなく「陸」でも速かったため陸上部の試合に駆り出されたほど。また、父親の知人の飲食店を手伝いながら料理を学び、大学1年で調理師の免許を取得。和洋何でもこなし、今でもパーティーで腕を振るうなどマルチな才能を発揮する。
○…海の秩序を守るためには「条例が必要」という声の中「マナーや秩序は一人ひとりが守るもので決められるものではないと思う。規則ばかりでもね」。マナーを理解していない人には、海を楽しむためになぜそうすべきなのかを根気よく説得する。後継者の育成も自ら現場で手本を示す。一度始めたら最後までやり遂げる「有言実行」を貫く海の男の夢は「生涯海と共に」のようだ。
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