12月23日(火・祝)までカロカロハウスで草木染め・手織り作品を展示している 宇都 遙香さん 東海岸北在住 34歳
染織を丁寧に、身近に
○…高校時代の友人の作家とともに開いている今回の二人展。自身は草木染め・手織りのマフラーを、友人はフェルト作品を展示している。そんな手触りの異なる作品が並ぶ展示会の名は「さらりとふわり―ふたつのぬくもり―」。「冬の装いにぴったりの作品を展示します。多くの方に手作りのあたたかみを感じてもらえたら」と穏やかな笑顔。
○…「特別に工房を構えたいとは思わないです」という作業場は自宅の台所。「染織を身近なものとしてとらえたい」という思いで自然由来のもののみを使うため、毛糸を染める鍋の横で料理を煮込んでいることも。身近な草木を使い、丁寧に織って仕上がるのは自然な風合いのマフラーだ。
○…長野県に生まれ、千葉県を経て父の仕事でオーストリアのウィーンへ。現地の小学校に2年間通い「当たり前と思っていた黒髪を褒められたりして、日本文化の貴重さに気付いた」。帰国後は「日本の学校にはなぜ制服があるのだろう」と疑問や主張を持ちながら進学先を考えている中、「自由の森学園高校」に出会い入学。行動力のある同級生に圧倒され「それまでは自己主張ができる自分に自信があったんですけど、打ち砕かれた気分で」と苦笑い。そんな折美術の授業で、糸を紡ぎマフラーを編む体験をし「一から作っていく感覚が衝撃的で。庭にある草や木に、美しい色が隠れているなんて」。卒業後は草木染めの師匠に師事しながら、夜間は明治大学に通学。「好きなことだから朝から晩までがあっという間。全然疲れなかったです」
○…結婚を機に、高校の先輩で学芸員である夫が育った地・茅ヶ崎に居を構えた。花嫁衣装には茜色の大振袖を自ら染織。その茜色は、娘の7歳のお祝いに染織し、贈った着物に受け継がれている。「大人になっても着られるように丁寧に仕立てました」。今後も「ひとつひとつの工程をおろそかにしないで、じっくりと」。変わらぬ姿勢で向き合う。
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