著書『高砂緑地の四季』を発行した 渡辺 功さん 東海岸北在住 82歳
機微に触れる地域人
○…鳥のさえずり、10mほどはあろう松、季節を彩る草花…。自宅のすぐ前に広がる空間を舞台に、『高砂緑地の四季』を自費出版した。「ここは静謐(せいひつ)な雰囲気。今の時期は緑がきれいで、風も吹き抜けて気持ちいい」と口元を緩める。
○…愛犬「マル」を連れ、毎朝5時すぎには高砂緑地を散歩。そうした生活の中で、「自然と言うものは奥深いなと。その気になれば見られるものがある」と変化を感じれば筆を執り、原稿用紙に書き溜めていった。例えば、美術館駐車場の東端に立つウルシ科の「ハゼ」が見せた秋夕のワンシーン。周囲の樹木は枯れ葉となる中、ハゼの枯れ枝には真っ赤な1枚の葉が。「まもなく自らも果てる姿を晒していて息をのんだ。しかし、その1枚の葉は緑地全体を引き締めていた」。そして今年3月、50ページにおよぶ著書を発行。近所の人々や市役所に配った。茅ヶ崎市立図書館にも寄贈し、2階の資料相談室で誰でも閲覧可能だ。
○…東京都品川区で、9人兄弟の6番目に生まれた。「兄弟が多いからか、外でも物怖じしない子どもだった」と言い、父親が経営する薬局を高校生の頃から手伝い、近隣家庭に医薬品を売ってまわった。「御用聞きだね。毎日自転車でまわって、奥さんたちと話して」。小山台高校を卒業し、父と同じ薬剤師を志して東京薬科大学へ。就職した外資系製薬会社では、営業や社内研修の講師も任された。退職後は平塚市内の薬局に勤務し、80歳まで労を惜しまず働いた。
○…妻の実家がある茅ヶ崎にやって来て46年。東海岸北一丁目の自治会長は6年目に突入した。知り合いに会えば、「今日はいい元気ですね」「奥さん元気?」と口が開く。「すぐ声を掛けちゃうんだよなぁ」と照れた姿が愛くるしい。
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